e県内初の公立夜間中学 19年4月の開校めざす
- 2017.04.03
- 情勢/社会
公明新聞:2017年4月3日(月)付
義務教育未修了者らが学び直す場を提供
党県本部 市長に要望 実現を後押し
埼玉・川口市
学齢期に十分に学べなかった高齢者や外国人と、不登校などで中学校に通えなかった人たちの学び直しの場として注目されている夜間中学。埼玉県川口市は2019年4月の開校をめざし、県内初となる公立夜間中学を開設する準備を進めている。公明党埼玉県本部の西田実仁代表(参院議員)と萩原一寿県議、党市議団(大関修克団長)は3月14日、奥ノ木信夫市長に早期実現を要望した。
「学んで字が書けるようになって、今が一番幸せ」――。ボランティアが運営する自主夜間中学に通い、自分の思いを文字で表現できるようになった50歳代女性の手記。席上、西田県代表は、その一部を紹介しながら、「こうした人が一人でも増えるように」と強調し、夜間中学を早期に開設するよう要請した。
奥ノ木市長は、さまざまな事情で学べなかった人たちに「学ぶ機会がつくれれば、とても良い」と述べた上で、夜間中学の開設場所として、08年に廃校になった旧市立芝園小学校の敷地を候補に挙げた。
また、市学務課によると、市内の外国人居住者は約3万人で全国で3番目に多い。元教員らボランティアが市内で週2回開く「川口自主夜間中学」には、多くの外国人が参加している。
これを踏まえ、要望書には「日本語の習得をはじめ、日本の文化やマナーを理解し、生活に適応できるよう支援していくことは、多文化共生社会の観点から重要」と明記した。
夜間中学の開設については昨年12月、教育機会確保法が成立し、文部科学省が各都道府県に少なくとも1校以上設置するよう求めている。県は川口市を含む11市が参加した連絡協議会で夜間中学の設置を検討しており、市は今後、県が行う夜間中学入学のニーズ調査などを踏まえた上で、校舎の規模や外国人支援など具体的な内容を示していく方針。
公明党は党を挙げて、夜間中学の開設など学び直しの場づくりを積極的に推進してきた。国会では、不登校などで中学の授業を十分に受けられなかった既卒者が夜間中学に入学できるよう求め、実現。全都道府県への夜間中学設置も主張し、これに沿った国の指針が明確に示された。
一方、埼玉県議会においては、萩原県議が15年9月定例会で、県内に夜間中学がない状況を指摘し、早期開設を促したほか、川口市議会でも、芦田芳枝市議が今年3月定例会で、市の取り組みを求めるなど、強く後押ししてきた。
公立中学校で夜に授業が行われる夜間中学は、義務教育を修了していない日本人や外国籍の人たちが学ぶ場。教員が昼間の中学校と同じ教科を教えるほか、外国人向けに日本語教室を設ける学校もある。全課程を修了すると中学卒業資格が得られる。
文部科学省の調査によれば、14年5月時点で8都府県25市区に31校あり、生徒の約8割が外国籍だ。10年の国勢調査では、夜間中学の対象となる義務教育の未修了者は外国人を含め、全国に約12万8000人いるとされる。