e公明 地域の課題解決へ論戦
- 2017.04.04
- 情勢/解説
公明新聞:2017年4月4日(火)付
地方議会定例会から
地域の課題解決に向けて、各地の地方議会定例会で論戦を展開している公明党議員の質疑を紹介する。
被災地の住民交流や聴覚障がい者支援訴え
宮城県議会で庄子、横山議員
庄子賢一議員は、災害公営住宅の整備や集団移転が進む中、被災地では新しいコミュニティーの構築や交流の場づくりが課題になっていることを指摘。「多様化する被災者の環境を考慮し、手厚い人的支援をすべきだ」と訴えた。
これに対し村井嘉浩知事は、新年度において、被災地の地域づくりをサポートする「コミュニティー支援員」を新たに配置すると答えた。
また庄子議員は、特別支援学校における児童・生徒への医療的ケア充実の観点から、看護師を正規採用にするなど体制整備の進捗状況をただした。
一方、横山昇議員は聴覚障がい者に対する避難所などでの支援体制の強化が急がれると主張。その上で、「手話通訳者の育成、確保にどう取り組むのか」と質問した。
県側は、災害時の対応を踏まえた適切な手話通訳者を確保できるよう、具体的な目標数や育成のあり方を検討する考えを示した。
子どもの貧困対策、生物多様性の保全で提案
茨城県議会で井手、田村議員
井手義弘議員は、子どもの貧困対策について質問。格差や貧困の問題を取り上げ、問題解決に向けて具体的な施策を地方自治体で展開する必要性を強調した。その上で、ひとり親家庭の子どもに食事を提供する「子ども食堂」の運営団体を支援する他県の事例を紹介し、子どもの貧困対策に関する県の取り組みをただした。
橋本昌知事は、関係団体と情報交換しながら活動が円滑に進むように支援する方針を表明した。
田村佳子議員は、政府が決定した持続可能な開発目標(SDGs)の実施指針の中に、生物多様性や環境の保全が含まれていることに触れ、啓発するための専門拠点の重要性を指摘。昨年9月に、同県の筑波山地域が日本ジオパークに認定されたことを踏まえ、自然の生態系を守るために設置されている県庁内の「生物多様性センター」を同地域に移設し、充実するよう提案した。橋本知事は、移設場所について検討する意向を示した。
新生児難聴、ブラックバイト、がん教育で対策を
大阪府議会で三浦、林、三宅議員
三浦寿子議員は新生児聴覚検査事業について、「先天性の難聴は早期に発見され、適切な支援が行われれば、聴覚障がいによる影響が最小限に抑えられ、コミュニケーションや言語の発達が促進される」と指摘。10年前から地方交付税措置がされている同事業について、府内自治体に公費負担実施を促し、耳鼻咽喉科など医療機関の療育体制の拡充、保護者への研修会や啓発も含めた推進体制が必要だと訴えた。
府側は、新年度から新生児聴覚検査関係機関連携会議を設置し、体制構築を図ることを明らかにした。
林啓二議員は、過酷な労働を強いるブラックバイト対策について、厚生労働省が実施したアルバイトに関する意識等調査結果に言及。大学生の60.5%、高校生の32.6%が労働条件などで何らかのトラブルがあったと指摘し、労働関係法令などを知る機会が少ない学生らにスマートフォンなどで情報が届くようにするなど、対策を求めた。
府側は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や生活情報誌などでの情報発信とともに、事業者への指導、監督権限がある大阪労働局と連携を強化すると応じた。
三宅史明議員は、日本人の2人に1人が、がんに罹患する現状の中、予防や早期発見の重要性など、正しい知識と理解は一般的な教養として必要不可欠だと主張。学習指導要領の改定案の中で、中学校の保健体育科に「がん教育」に関する記述が明記された点に触れ、今後の取り組みをただした。府側は、がん専門医による講演や教員による実践発表など、公立、私立の中学・高校の教員を対象とする研修会を新たに実施する方針を明示した。
学校教育の無償化進めよ
広島県議会で下西議員
下西幸雄議員は、学校教育の無償化について質問した。
日本の教育への公的支出が経済協力開発機構(OECD)加盟国で最低水準であることを指摘し、「少子高齢化、人口減少社会の中、子どもの幸せや子育ての安心が確保される社会を構築するためには、この状況の打開が大切」と強調。
また、政府の「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」(本部長=安倍晋三首相)が昨年12月に決定した実施指針のうち「あらゆる人々の活躍の推進」で、幼児、初等・中等、高等の充実が掲げられていることに言及した。
その上で、県としても「日本の将来を担う子どもたちへの、未来への投資として幼児教育無償化の早期実現、さらには高等教育の無償化へと拡充していくべきだ」と主張した。
下崎邦明県教育長は、国に対し「教育費の負担軽減に向けた要望等を行ってまいりたい」と応じた。