eテロ防止へ国際協力

  • 2017.04.07
  • 情勢/国際
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公明新聞:2017年4月7日(金)付



組織犯罪処罰法改正案 審議入り
条約締結に法整備必要
捜査の連携、円滑・迅速に
衆院本会議で国重氏



テロなど組織的な重大犯罪を防止するため、それを計画し準備した段階で処罰できるようにする「テロ等準備罪」の新設をめざす組織犯罪処罰法改正案(「テロ等準備罪」法案)が6日、衆院本会議で審議入りした。質問に立った公明党の国重徹氏は、「テロを含む国際的な組織犯罪を未然に防止するためには、国際社会の協力が不可欠」と訴え、同法案を成立させ国内法を整備し、日本が未締結の国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結する重要性を力説。安倍晋三首相も「わが国が国際社会の"法の抜け穴"となるわけにはいかない」と述べ、同法案成立の必要性を強調した。


テロ等準備罪で金田法相


内心を処罰対象とせず。「共謀罪」とは大きく異なる

国重氏は、2020年の東京五輪・パラリンピックなどを「断じてテロの標的にさせてはならない」と主張。既に187カ国・地域が締結しているTOC条約について、先進国では日本だけが未締結であるとして、「締結できれば、締約国間で捜査共助や逃亡犯罪人の引き渡しが円滑、迅速にできるようになる」と指摘した。

安倍首相は「条約締結に必要な国内法がなければ、締約国の間で効果的な情報交換ができない。テロを含む国際的な組織犯罪防止のための国際協力を促進し、強化するためには、条約の締結が必要だ」と訴えた。

また、国重氏は、テロ等準備罪の主体である「組織的犯罪集団」について、「一般の民間団体、労働組合などは対象にならないことは明らか」とした上で、「自然環境や景観の保護など、正当な主義主張をアピールするため、その手段として座り込みを計画しただけで組織的犯罪集団に当たってしまうのではないかとの懸念が示されているが、これは対象に当たらない」と述べ、改めて政府の見解を確認した。金田勝年法相は、こうした団体については「重大な犯罪を実行するとは考えられないから、組織的犯罪集団に当たることはなく、座り込みを計画したとしても、『テロ等準備罪』による処罰の対象となることはない」と明言した。

さらに、国重氏は、同罪の処罰対象の行為に関して、「具体的、現実的な『計画』のほか、それに基づく『準備行為』を必要としている」と指摘。かつて廃案になった「共謀罪」が「合意」のみを対象としたこととの違いに触れ、「居酒屋で上司を殴ってやろうと話し合っただけで犯罪になる」という懸念、批判は明確に解消されたと強調した。

金田法相は「犯罪の計画だけでは処罰されず、実行準備行為があって初めて処罰対象とすることで、内心を処罰するものではないし、処罰範囲も限定した。かつての共謀罪とは大きく異なる」と力説した。

一方、国重氏は、民進党がTOC条約の締結に新たな法整備は不要と主張していることに対し、「民主党時代、共謀罪を導入せず条約に入ると公約を掲げ、政権に就いたものの3年3カ月の間、条約に加盟できなかった。民進党はまず、その理由を明確に示すべきだ」と批判。これに関し岸田文雄外相は「現行の国内法では条約の義務を履行できないため、新たな立法措置が必要だ」と語った。

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