eコラム「北斗七星」
- 2017.04.11
- 情勢/社会
公明新聞:2017年4月11日(火)付
和食の"だし"をとるのに欠かせない国産の「かつお節」がEU(欧州連合)に輸出されることになったという。ヨーロッパでは、日本料理だけでなく、フランス料理の調味料としても需要が高まる中、EUが定める厳しい食品衛生基準の国際認証を静岡県の水産加工会社が初めて取得した◆2015年に「食」をテーマに開かれたイタリアのミラノ万博では、公明議員の働き掛けもあって、会場への持ち込みが例外的に認められた。通常は、国産とは風味の異なる外国産を使わざるを得なかっただけに、国内からの本格的な輸出に弾みがつくと期待される◆一方、原料となるカツオそのものの減少を危惧する動きもある。カツオ消費量が日本一の高知県によると、県沿岸部での引き縄漁の水揚げが過去20年間で最低の水準に。「このままではカツオが食べられなくなる」との危機感から、水揚げ量の回復を目指す県民会議が発足した◆長引く不漁の原因には、ツナ缶の需要拡大などに伴う熱帯海域での乱獲を指摘する声もある。同会議では世論を喚起しながら、国際的な資源保護にまでつなげていく狙いだ◆おいしくてヘルシーな和食の人気は世界的に高まっているが、その"背骨"ともいえるかつお節とカツオ。日本の食文化を守り、発信するための取り組みを望みたい。(祐)