e知っておきたい 振り込め詐欺救済法
- 2017.04.11
- 情勢/解説
公明新聞:2017年4月11日(火)付
振り込み先の口座残高に応じて被害回復の分配金
被害に遭ったら警察、金融機関に速やかに連絡を!
高齢者などを狙った振り込め詐欺が後を断ちません。被害者を救済するため、振り込み先の口座残高に応じて被害回復分配金を支払う救済策が「振り込め詐欺救済法」によって講じられています。その概要について紹介します。
支払いを受けるには申請が必要
警察庁によると、2016年の振り込め詐欺をはじめとする「特殊詐欺」による被害額は、約406億3000万円となり、前年に比べて約75億6800万円減少したものの、依然として高水準にあります。また、認知件数は、1万4151件に上り、6年連続で増加しています。
その中で、特殊詐欺のほとんどを占める振り込め詐欺については、いわゆる「オレオレ詐欺」の被害額が減少している一方で、高齢者を狙った「還付金等詐欺」が急増している点が特筆されます。
振り込め詐欺救済法は、こうしたオレオレ詐欺、還付金等詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺をはじめ、ヤミ金融や未公開株詐欺など、預金口座への振り込みを利用した財産被害を対象とし、被害者を救済する法律です。
具体的には、被害者が振り込んでしまった口座の残高に応じて、被害額の全額または一部を被害回復分配金として金融機関が被害者に支払う仕組みです。
万が一、振り込め詐欺の被害に気付いたら、まず警察に連絡をするとともに、速やかに振り込み先の金融機関にも連絡してください。この連絡を受けて金融機関は、振り込み先の口座を凍結(利用停止)します。
その上で、被害回復分配金の支払いを受けるには、被害者からの申請が必要です。振り込み先の金融機関に対し、所定の申請書や運転免許証などの本人確認書類、振込通知控など「振り込みの事実を確認できる資料」を提出する必要があります。こうした手続きを経て、申請者に被害回復分配金が支払われます。
ただし、被害者に支払われる額は、振り込み先の口座が凍結された時点の残高が上限となります。そのため、振り込み先の口座の残高が被害額より少ない場合、支払われる被害回復分配金は被害額の一部となります。
また、被害者が複数いたときは、それぞれの被害額と振り込み先の口座の残高に応じて支払われます。
なお、犯人が振り込み先の口座から全額を引き出してしまった場合や、口座の残高が1000円未満の場合は、支払いの対象となりません。
振り込め詐欺の大きな特徴は、「すぐに振り込まないと大変なことになる」などと急がせ、考える時間を与えないようにする巧妙な手口が挙げられます。このため、被害を未然に防ぐには「すぐに振り込まない」「一人で振り込まない」ことが重要です。くれぐれも注意しましょう。