e米中両国の協調 東アジアの平和と安定に不可欠
- 2017.04.11
- 情勢/解説
公明新聞:2017年4月11日(火)付
米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席の初の首脳会談で、包括対話を進める合意ができた。
首脳会談では現在の国際情勢の改善につながる具体的な成果は生まれなかった。しかし、米中が協調して課題解決に当たる新たな枠組みができ、対話のチャンネルが広がったことは重要である。
特に東アジアでは、危険な軍事的挑発を繰り返す北朝鮮が地域の平和と安定を脅かしている。北朝鮮問題の平和的解決を願う日本としては、米中の協調が着実に進むことを期待したい。
包括対話は「外交・安全保障」「経済」「サイバーセキュリティー」「社会・文化」の4分野で行われる。これらは、毎年開催されてきた閣僚級の「米中戦略・経済対話」に代わる枠組みとして設けられた。
「外交・安保」の主要テーマは北朝鮮の非核化と、一方的な島しょの埋め立てなど中国が南シナ海で進める「力による現状変更」である。このうち北朝鮮の核・ミサイル開発が深刻な段階に達しているとの認識については米中両首脳は一致した。これからは具体的な対応を巡って応酬が続くに違いない。
国連安全保障理事会が北朝鮮に対する経済制裁決議を繰り返しても、なかなか効果が上がらない。その理由として、中国による決議履行の不徹底が国際社会から指摘されているわけだが、トランプ大統領は会談の中で、「中国が協力しないなら単独行動をする用意がある」とも語ったといわれる。また、会談の期間中に、米国は化学兵器を使用したとされるシリア政権に対するミサイル攻撃を実施した。大量破壊兵器の使用など、"ある国が一線を越えれば軍事的措置も辞さない"との強い姿勢を示し、中国を牽制したとの論評もある。
一方で、米中は互いに重要な貿易相手国である。さらに、この地域には日本や韓国、台湾と世界経済に大きな存在感を示す国もある。軍事的な不安定化が増せば、その影響は計り知れない。
世界経済をリードし、相互依存関係にもある米中両国は世界的な視野に立った行動が求められる。内実のある包括対話を進めてほしい。