e新人口推計 子育て支援、さらに急ぎたい
- 2017.04.14
- 情勢/解説
公明新聞:2017年4月14日(金)付
日本の人口が減るペースや高齢化の進む度合いが少し緩やかになる見込みだという。厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が新たな人口推計を発表した。この結果を今後の少子化対策や働き方改革に生かしたい。
新たな推計によると、50年後の人口は最も実現可能性が高いケースで8808万人になる。5年前に実施した前回推計より672万人多い。近年の出生率の向上を推計に反映させ、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率の見通しを前回試算の1.35から1.44に上方修正したからだ。
同研究所は、出生率が上がった背景として、保育の受け皿整備が進んだ点などを挙げた。「政府の子育て支援策が功を奏しつつある」(11日付「朝日」)ことは明らかだ。
ただ、依然として日本が厳しい人口減少に直面している状況は変わらない。全体の出生率は改善傾向にあるものの、20歳代前半は減っている。若者が安定した収入を得て希望通りに結婚、出産、子育てができる社会をどう築いていくか。
この点で注視すべきは、自らのキャリアを考えて、出産をせず働き続けたい女性が増え、第1子を産む年齢が高くなっていることだ。女性が仕事と子育てを両立し、男性も育児参加できる環境づくりを急がなければならない。ICT(情報通信技術)を活用して場所や時間にとらわれずに働くテレワークの普及や、育児休暇の取得を推進するなど働き方改革を本格的に進めたい。
待機児童の解消も急務だ。厚労省の集計では、2016年10月時点で4万7738人に上る。こうした状況から政府は、今年度から保育士の給与を平均で月6000円引き上げ、人材確保に努める。さらに東京都では、都議会公明党の推進で月に2万1000円の賃金補助を上乗せすることを決めた。保育の受け皿整備は喫緊の重要課題だ。
少子化対策は短期間で効果が出にくい。「安心して出産・育児ができる」社会の実現へ、国民が希望通りの数の子どもを持てる「希望出生率1.8」の達成に向けた支援策をさらに充実しなければならない。