e寄り添う支援さらに

  • 2017.04.14
  • 情勢/社会
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公明新聞:2017年4月14日(金)付



迫る仮設の入居期限
熊本地震から1年
新たな住まい 確保急務



きょう14日、熊本地震の発生から1年を迎える。熊本県内の住宅被害は、一部損壊を含めて約19万棟に及び、公的支援を受けるのに必要な罹災証明書の交付件数は、20万1399件(3月31日現在)に上る。公費解体が進む被災地では、自宅再建が困難な被災者の多くが応急仮設住宅などに身を寄せている。県内16市町村の応急仮設住宅4303戸のうち4179戸に1万985人、同25市町村のみなし仮設住宅1万4621件に3万3685人が暮らす。公営住宅などを含めると、今なお4万7725人が不安な生活を余儀なくされている(いずれも3月31日現在)。発災から1年。仮設住宅で暮らしながら生活再建をめざして、懸命に歩みを進める被災者の姿を追った。=熊本地震取材班 関連記事はこちら=熊本地震1年を語る熊本地震から1年 公明党が復興を後押し

「みんなで食べるご飯は、やっぱりおいしいね!」――。甚大な被害を受けた益城町にある馬水仮設団地(77戸)の一室で、にぎやかに食卓を囲む家族の明るい声が響く。

少し手狭な3DKに家族5人で身を寄せる坂本京子さん(51)は、「今はこうした一家だんらんの時間が一番の安らぎ」と、穏やかな表情を浮かべる。

坂本さんの自宅は昨年4月14日の前震で全壊した。同じ場所での再建を願って今年3月、不動産業者に相談したが、「予約がいっぱいで2年待ちだった」と肩を落とす。何より、自宅跡地の安全性を判断する地盤調査が高額なため、なかなか調査に踏み出せないという。

昨年7月から仮設住宅で暮らす坂本さんは「入居期限内で自宅を再建できるだろうか......」と不安を募らせる。

災害救助法などが定める仮設住宅の入居期限は2年間。こうした被災者の不安を軽減しようと、県は入居期限の延長を検討する一方、市町村と連携しながら被災者の新たな住まいの確保に全力を挙げている。

県は昨年8月、県内の工務店などの協力を得て割安で購入できる「くまもと型復興住宅」を被災者に提案。益城町のテクノ仮設団地などにモデル展示場を設け、これまでに20件が成約済みとなった。さらに、自力での自宅再建が困難な被災者向けの災害公営住宅(復興住宅)についても、12市町村で約1000戸の建設が決まっている。

こうした中、自宅の再建を阻む宅地被害に対しても、県や市町村の支援が進みつつある。熊本市南区に集中する液状化被害については、公明党の推進もあり、宅地耐震化推進事業の国庫補助率が4分の1から2分の1に拡充され、復旧への後押しにつながっている。

同区の仮設住宅に住む中嶋洋子さん(63)は、「公費解体が進み、更地が広がる郷土を見ると寂しい。これから新築家屋が立ち並ぶことを信じて頑張りたい」と前を向く。

先月、県内の仮設住宅で男性が誰にもみとられずに亡くなった。熊本市内の、みなし仮設に独りで暮らす70代男性は、「ここに住んでから人と話す機会が減った。孤独死は人ごとではない」とうつむく。今後の先行きが見えず、引きこもりがちな高齢者の孤立化が深刻だ。

被災者が平穏な日常を取り戻すには、いまだ課題が山積している。一日も早い被災者の生活再建へ、引き続き、国や自治体には一人一人に寄り添う手厚い支援が求められる。

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