eコラム「北斗七星」
- 2017.04.25
- 情勢/社会
公明新聞:2017年4月25日(火)付
なにやら若者が言い合う。耳をそばだてると、どうやら一人が相手を「あなた」と呼んだことに、腹を立てているらしい。本来は丁寧な言葉なのだが、今では、使い方に注意が必要な言葉になっているのを知らなかったのだろう◆一方、毎年4月になると、ちょっとやり過ぎだろう言い方を耳にする。例えば「これでよろしかったでしょうか?」や「○○させていただきます」。丁寧には違いないが、どこか違和感がある◆欲しい商品を指さしているのに、わざわざ過去形にして「よろしかった」はないだろう。もとより許可する立場にもないのに「させていただきます」は変だと思う。まだるっこしい。ことによっては慇懃無礼にさえ聞こえる。「これでよろしいですか?」「○○いたします」で十分な場合がほとんどだ◆とはいえ、新前社会人としては、言葉遣いに慣れないことも多いだろう。振り返れば、自分も同じようなものだったかと苦笑いがこぼれる◆周りがつかっているからと、無難な言い回しに終始していないだろうか。文化審議会は敬語について、「相互尊重」の気持ちを基盤にして、主体的に言葉遣いを選ぶ「自己表現」と強調する(「敬語の指針」)。気持ちを伝えることが大切なのだ。慣れないが、心配はない。誰でも通ってきた道なのだから。(繁)