e全国初の試み 来春から大阪市営地下鉄が民営化

  • 2017.04.27
  • 生活/生活情報

公明新聞:2017年4月27日(木)付



新会社からの配当など市民サービスに還元
敬老パス発行の自己負担解消へ



3月28日の大阪市議会本会議で、市営地下鉄・バス事業の廃止議案など関連3議案が可決、成立したことにより、来年4月から市営地下鉄が民営化される。自治体が運営する公営地下鉄の民営化は全国初のケースで、今後の動きに注目が集まっている。

大阪市営地下鉄は1933年に開業した国内で最も古い公営地下鉄で、全9路線の営業区間は約138キロ。1日平均243万人が利用し、鉄道部門の営業収益は1561億円(2015年度)に上る。これはJRを除けば全国で東京メトロ、東武鉄道に次ぐ規模となる。

民営化により、地下鉄は市が100%出資する新会社「大阪地下鉄株式会社」(仮称)に業務を引き継ぐ。一方、バスは地下鉄新会社の子会社となる「大阪シティバス株式会社」(現在は市の外郭団体)に事業譲渡する。

これまでは地方公営企業法などで鉄道以外への事業進出は制限されてきた。民営化により経営の自由度が高まり、不動産やホテル、高齢者・子育て支援など多角的な事業展開が想定されている。さらに、経営体質の強化を進め、市は新会社からの税収・配当を年間100億円と見込んでいる。こうした財源を市民サービスに還元していく方針だ。

市は近日中に準備会社を発足させ、民営化後の鉄道事業の免許移行手続きやシステム改修などを進める。また、交通政策全般に充てる基金を創設し、今後設置する市長直轄の「都市交通局」が具体的な使い道を定めていくことになる。


公明の提案を反映

今回の地下鉄民営化の実現には、市議会で3分の2以上の賛成が必要だった。市議会公明党(土岐恭生幹事長)は、市側に提案していた、①株主となる大阪市への配当の確保②敬老パス制度の維持・改善③バリアフリー化の計画的な推進――など8項目が反映されたことを踏まえ、賛成に至った。

このうち、1回50円の乗車料と年額3000円の発行手数料が自己負担となっている現行の敬老パス制度の改善については、公明党の主張を受け発行手数料は新会社が負担し、自己負担分をなくす方向で検討されている。

民営化決定を受け市議会公明党はこのほど、地下鉄千日前線・桜川駅を訪れ、ホームドア整備など安全対策の取り組みについて関係者から話を聞いた。市交通局によると、駅施設の耐震化などの安全対策は、民営化後の5年間で約1080億円の投資を見込んでいるという。

土岐幹事長は「新会社が利用者のニーズに一層応えるとともに、大阪経済の活性化への牽引力ともなるよう、引き続き力を尽くしたい」と話していた。

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