e買い物弱者支援 民間事業者の取り組み後押しを
- 2017.04.27
- 情勢/解説
公明新聞:2017年4月27日(木)付
増え続ける「買い物弱者」を支援する民間事業者の取り組みを後押ししたい。
コンビニ最大手のセブン―イレブン・ジャパンは、運送大手のセイノーホールディングスと提携し、高齢者など買い物が困難な人向けの宅配サービスを強化すると発表した。
コンビニは全国に約5万5000店もある。同様の取り組みが他社にも広がれば「買い物に行きたくても行けない」という人たちにとって心強いに違いない。今後の業界の動きを注視したい。
現在、高齢者を中心に日常の買い物が困難な「買い物弱者」は、全国で約700万人と推計されている。その多くは、人口減少でスーパーなどが撤退した過疎地や山間部に住んでいる。今後、ニュータウンや大規模団地を抱える都市部でも増加が見込まれる。
このため、食料品や日用雑貨、衣服などを積んだ移動販売車を展開したり、注文を受けて自宅まで届ける宅配サービスを実施する民間事業者が増えている。
ただ、事業参入は容易ではない。移動販売車の場合、トラックの購入や改造費などで数百万円かかるとされる。こうした負担を少しでも軽くすることはできないか。
この点、初期費用の一部補助や移動販売車の貸し出しを行う自治体が増え始めたことは歓迎したい。例えば川崎市では、コンビニが同市の補助制度を利用して高齢者施設への移動販売を実施している。
移動販売でもカバーできないような地域をどうするかという課題もある。
参考になるのが広島県神石高原町の取り組みだ。同町は限界集落を支援するため、町出資の運営会社がコンビニ大手のローソンとフランチャイズ契約を結び、町内の道の駅に店舗を開設した。ここを起点に、2台の移動販売車を使って高齢者の買い物を支援すると同時に、安否確認も行っている。
農林水産省の調査では、回答のあった市町村の8割が「買い物弱者対策が必要」としているが、対策の実施率はそのうち6割にとどまる。
経済産業省は今週末、各地の自治体が実施する買い物弱者支援の最新事例をホームページで紹介する。支援策を充実させる参考にしてほしい。