e寝たきりでも外出しやすく
- 2017.05.08
- 情勢/社会
公明新聞:2017年5月1日(月)付
「電動アシスト車いす」購入に9割助成
介助者の負担を軽減
公明市議 東京の党員から"声"引き継ぐ
神戸市
神戸市は4月から、介助者が車いすを押す力をサポートする「介助者用電動アシスト車いす」の購入にかかる費用の助成制度を開始した。東京都墨田区の公明党員が、神戸市に住む寝たきりの難病患者の声を、公明党の神戸市議に届けたことから実現したものだ。
「介助者用電動アシスト車いす」は、ハンドルグリップに取り付けられた内蔵センサーが介助者の握る力を感知し、上り坂などでは押す力をサポートし、下り坂になると自動でブレーキがかかるなど、電動自転車の機能に近い。
「長年訴えてきたことが実現し、本当に良かった」。文字盤を使ってこう語るのは、神戸市に住む岡本興一さん(42)だ。
24歳の時に筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症。時間の経過とともに全身の筋肉が動かなくなる難病で、岡本さんも短期間のうちに全身がまひし、12年前からは人工呼吸器を装着している。寝たきりのため外出には介助が必要だ。
しかし、大柄な体格に加え、呼吸器やバッテリー、吸引器などで車いすの総重量は100キロ前後に。ヘルパーや妻の悦子さん(45)に介助されて出掛ける際に、坂道や段差があると負担が増す。このため、電動アシスト車いすへの助成を求め続けてきた。
こうした中、岡本さんの声を受け止めたのが、墨田区の公明党員・藤千代子さんだ。藤さん自身もALS患者の家族を支え、岡本さんとはブログを通して知り合った。
昨年6月、岡本さん宅で懇談した際、助成の必要性に共感し、地元・墨田区の公明区議に相談。区議から髙瀬勝也、向井道尋の両神戸市議へと"声"が引き継がれた。
両神戸市議は早速、岡本さんのもとを訪れ、電動車いすへの助成が、自力で操作できる人に限られていることなどの説明を受けた。実際、岡本さんの外出支援をサポートした体験も踏まえ、市議会の一般質問や委員会質問で、自力で操作できない人の助成を進めるため、各自治体の判断で個別の事情に応じて支給できる「特例補装具費」の活用を提案していた。
市は電動アシスト車いすの利用希望者と随時、個別に面談し、購入額の9割を助成していく方針を基本に補助額などを決めていく。
助成事業が開始した報告を聞いた藤さんは「国と地方の"タテ"の連携だけでなく、地方同士の"ヨコ"のつながりも公明党の強みだとあらためて実感した」と話していた。岡本さんは「自分だけでなく、同じ悩みを持つ全国の人にも助成の動きが広がれば」と望みつつ、晴々とした笑顔を見せていた。