e教員の過重労働 学校でも働き方改革が必要だ
- 2017.05.08
- 情勢/解説
公明新聞:2017年5月2日(火)付
多くの教員が過重労働に陥っている実態が裏付けられた。もはや個人の善意と努力だけではカバーしきれまい。国を挙げて進めている「働き方改革」は、学校でも急務である。
文部科学省が公表した公立小中学校教員の勤務実態調査によると、過労死の目安とされる週60時間を超えて働いている教員は小学校で33.5%、中学校で57.7%に上った。平日の平均勤務時間は小中ともに11時間を超えている。
経済協力開発機構(OECD)が2012~13年に34カ国・地域を対象に実施した調査では、日本の教員の勤務時間は各国平均より週15時間ほど長かった。授業だけでなく生活指導や書類作成など業務が多岐にわたるからだ。
とりわけ、練習試合や大会出場で土日を費やすことになる部活動の担当は大きな負担だ。実際、中学校教員の土日の部活動の指導時間は10年前の2倍に膨れ上がっている。
深刻化する教員の長時間勤務の改善にどう取り組むべきか。
大切なのは、学校運営に地域や外部の人材が関わる「チーム学校」の視点であろう。公明党の推進でスクールカウンセラーの配置が広がったように、部活動にも外部人材の活用を進めたい。
文科省は全国各地の取り組みをホームページで公開している。地域住民が野球や卓球といった部活動の指導を支援している大阪府豊能町立吉川中学校の取り組みなど参考になる事例は多い。
また、部活動の休養日を明確に定めた年間計画をつくるなど、教員の負担を考慮した指導体制の構築も急ぎたい。
勤務実態と合った給与制度への変更も必要だろう。何時間働いても基本的に給与が変わらないため、勤務管理がおろそかになり、無制限の時間外勤務を招いている側面も指摘されている。政府は、早急に改善策を検討すべきだ。
長時間勤務を放置すれば、授業内容を工夫したり、いじめの兆候を見つけたりする心の余裕まで奪われかねない。教員の喜びは、子どもたち一人一人と向き合い、成長を支えることにこそあるはずだ。
教員の疲弊は、本人はもちろん、子どもたちにとっても不幸である。