e改正都市公園法 保育所増設の弾みにしたい
- 2017.05.08
- 情勢/解説
公明新聞:2017年5月3日(水)付
保育所を増やしたいが、土地の確保が難しい―こうした現状を少しでも改善する契機にしたい。
国や自治体が整備した公園の設置・管理について定めた「都市公園法」の改正法が成立した。公明党が強く推進してきたもので、今夏にも施行される見通しだ。公園の管理基準の見直しが主な内容だが、とりわけ注目したいのは、公園内に保育所を設置できるようにしたことだ。
これまで公園内に設置できるものは、植木や遊具などの関連施設、災害用の備蓄倉庫や郵便ポストなどに限られていた。国家戦略特区では2015年から公園内の保育所設置が認められていたが、法改正により全国に拡大する。
改正都市公園法の対象となる公園は、全国に10万カ所以上ある。保育所を設置するためには、一定の面積など満たすべき条件はあるだろうが、建設用地の確保が大きく進むことが期待できよう。
法改正の背景には、保育所需要の高まりがある。認可保育所に申し込みながら満員で入所できなかった待機児童は、昨年10月時点で4万7738人に上り、前年の同時期より2423人多かった。保育所の整備が待機児童対策の大きな柱であることは言うまでもない。
ただ、保育所の設置には、地域住民の理解が欠かせない。実際、特区制度を活用して公園に保育所を設置しようとした自治体では、子どもの声による騒音や遊び場が失われる懸念を理由に反対運動も起きた。住民の理解を得ながらどう整備につなげていくか。
この点で参考にしたい事例がある。同じく特区制度を活用して今年4月、東京都荒川区の都立汐入公園内に開設した認可保育所だ。保育所内は、公園に遊びに来た親子が休憩できる交流サロンや、屋上部分をゲートボールなど地域の催し物に使用できるよう整備し、一般開放するスペースを設けた。こうした地域に開かれた工夫が求められよう。
改正法には、公園のあり方について自治体や民間事業者、住民らでつくる協議会の設置も明記されている。関係者が知恵を出し合い、課題を乗り越えられるかが鍵を握る。各地の公明議員も合意形成の後押しに努めてほしい。