e3原理堅持、「加憲」議論

  • 2017.05.08
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年5月4日(木)付



国民の理解得て進める
北朝鮮情勢 平和安全法制の必要性実感



公明党の北側一雄副代表(憲法調査会長)は、3日のNHK番組「憲法記念日特集 施行70年いま憲法を考える」に与野党各党の代表と共に出演し、大要、次のような見解を述べた。
【憲法改正への考え方】

一、憲法は戦後民主主義の進展に大きく寄与してきたという意味で、公明党は高く評価している。特に「国民主権」「基本的人権の尊重」「恒久平和主義」の憲法3原理は普遍であり、今後も堅持する。ただ、制定当時に想定されなかった課題や不備があるならば、憲法の基本は維持しながら付け加える「加憲」という考え方で論議を進めたい。

一、(立憲主義とは)憲法の目的は国家権力から国民の権利や自由を守ることであり、この認識は多くの政党で共通している。必要な改正があるならば議論しようということでも協調している。憲法3原理を堅持することでも、自民党や民進党、われわれも一緒だ。

【平和安全法制】

一、(憲法9条の政府解釈に関して)9条の下で「自衛の措置」がどこまで許されるかは、憲法に明確に書かれていない。政府と国会による長年の憲法解釈の中で確立されてきた。(「必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない」との)1972年(昭和47年)の政府見解が一番まとまっているが、その根幹は今回の解釈でも全く変わっていない。

一、(共産党が平和安全法制を違憲と批判していることについて)そもそも共産党は自衛隊は憲法違反だと言っている。その立場からでは、憲法の解釈について、自衛の措置はどこまで許容できるかという論理とは、全くその前提が違う。

一、(北朝鮮の核・ミサイル問題に関して)朝鮮半島の緊張が高まっている。わが国を巡る安全保障環境は本当に厳しさを増している中、平和安全法制を作ってよかったと実感している。

一、(9条の1項、2項を維持した上で憲法に規定のない)自衛隊の存在と役割を明記すべきとの意見があるが、自衛隊が憲法違反だと言っている国民は極めて少数だ。自衛隊に対する評価は大変高いわけで、今すぐ取り上げるべき問題かどうかは検討の余地がある。

【緊急事態条項】

一、緊急事態時に迅速な対応が必要との観点から、首相に権限を集中させ、また、国民の権利・自由を制約する場合の根拠を設けた方がいいという立場がある。しかし、日本の危機管理法制は法律以下のレベルで相当綿密に書かれている。あえて憲法に規定する必要はない。

一、国会議員の任期延長問題については、危機の時にこそ議会制民主主義が機能していくことが大事だ。多くのハードルはあるが、しっかり憲法審査会で議論していきたい。

【今後の議論の方向性】

一、国会には憲法改正の発議権しかない。最終的には国民投票で決めることになるので、国民の理解を得つつ進めることが大前提だ。次に、できるだけ多くの政党間の合意形成が必要で、特に、野党第1党の民進党の理解を得ながら議論することが大事だ。さらに、これからは優先順位を明確にしないといけない。憲法上、不備があるところを優先して論議すべきだ。

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