eコラム「北斗七星」

  • 2017.05.08
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年5月6日(土)付



航行距離は地球の約4分の3に及んだ。米国を出発したペリー提督の黒船は、太平洋航路を利用せず、大西洋を回るルートを通り浦賀沖に現れた◆わざわざ、遠回りしたのは、多くの経由地に立ち寄り、日本の情報を得るためだったという。「地球儀で探検!」(渡辺一夫 PHP研究所)に教わり、交渉に臨む周到ぶりに唸ってしまった◆今月はフランスの決選投票をはじめ、韓国やイランで大統領選の投票日を迎える。来月は英国の下院も新しい顔ぶれが決まる。英仏両国では、欧州連合(EU)に対する政治姿勢が勝敗を分けよう。イランや韓国でも米国との距離感が争点化している。国際社会と連携を強めるのか、背を向けるのか。政治の対立軸になっている◆「テロ等準備罪」の創設をめざす組織犯罪処罰法改正案の国会審議も、同じような構図が見えてきた。法案は、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の加入に必要な法整備である。条約は既に187カ国・地域が締結した。テロ集団やグローバルな組織犯罪に対峙する国際的な礎として機能しているが、日本はその輪に入っていない。犯罪防止に重要なのは情報交換だが、日本はやりとりを躊躇されるかもしれないという専門家もいる◆国際社会との強い連携なくして、国民を守る周到な対策は生まれない。(明)

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