e再就職めざす女性の学び

  • 2017.05.10
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年5月10日(水)付



PC技能、簿記など多彩に
ハローワークや大学の講座
受講費の一部支給18年から拡充



出産や育児を理由に離職した女性の再就職支援対策が強化されている。リカレント教育と呼ばれる、大学やハローワークなどでの学び直し支援だ。

日本では、女性が結婚や育児などで離職すると、再就職する場合に新しい知識や技能を身に付けたいという要望を持つ人は少なくない。そうした需要に応えるため、各種講座を充実させ、助成制度の拡充も進んでいる。

例えば、東京都が設置した「東京しごとセンター」では、女性の再就職支援として、経理や人事給与、医療関係の事務に関する基本知識の習得をはじめ、パソコン実習や就職活動ノウハウ講座、さらに職場実習などを組み合わせた各種プログラムを展開。厚生労働省所管の「マザーズハローワーク東京」でも、年金・税金などに関する講座や再就職準備セミナーなどを定期的に実施している。

また、大学での学び直しも活発である。日本女子大学(東京都)は2007年から「リカレント教育課程」を開設。1年間(2学期)の講座を提供するだけでなく、修了者に対する再就職先もあっせんしている。

同大学で受講できる講座は実に多彩だ。就職活動へ向けた自己分析や応募書類の書き方などを学ぶキャリアマネジメントをはじめ、ビジネス英語や日本語コミュニケーション論などを必修科目とした上で、企業会計入門や初級簿記、労働保険法といった選択科目が並ぶ。これらの履修を通して、貿易実務検定試験や消費生活アドバイザー(消費生活相談員)試験の合格、社会保険労務士資格の取得準備もできる。修了者のうち求職者の就職率は100%(15年度)に達した。


公明推進の改正雇用保険法

日本女子大学のリカレント教育の講座は、国の専門実践教育訓練給付金制度の助成対象に指定されている。同制度は、看護師や経営学修士(MBA)といった資格の取得など、国が定める講座を受講した場合、受講費の一部が支給されるものだ。3月に改正雇用保険法が成立したことで、最大60%の給付率は18年1月から同70%に拡充される。

また、国は同制度の対象講座を約2400講座指定しているが、今後5年間で5000講座まで増やす考えだ。その柱の一つとして子育て女性向けのリカレント教育の講座を増設する。また、子育て中の女性らが利用しやすいよう、土日・夜間やインターネット講座の拡充・新設も検討している。

さらに、同制度は現行、離職後最大4年以内に受講しないと対象から除外されるが、省令改正により18年1月から対象期間が20年以内に拡大される見通しだ。

公明党は、党働き方改革実現推進本部(本部長=石田祝稔政務調査会長)が取りまとめた働き方改革に関する最終報告を今年3月に安倍晋三首相に提出。この中でリカレント教育を取り上げ、教育訓練給付金の給付率の拡充や離職後の給付可能期間の延長、土日・夜間講座の充実などを要望していた。政府も、その後に決定した「働き方改革実行計画」にリカレント教育を盛り込み、女性がライフステージに応じて仕事を選びやすくなる環境を整備するよう明記している。

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