eNPT再検討会議第 1回準備会合に参加して
- 2017.05.15
- 情勢/国際
公明新聞:2017年5月15日(月)付
手記 党広島県本部 田川寿一代表代行(県議)
核兵器なき世界へ"ヒロシマの心"訴える
5月2日から、オーストリア・ウィーンで開幕した核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第1回準備委員会に、広島県議会の議員訪問団の一人として参加しました。会場のウィーン国際センターで同日、準備委の関連イベントとして開かれた県主催のシンポジウムで、母の被爆体験をもとに被爆2世として"ヒロシマの心"を訴えました。
NPTの再検討会議は核軍縮と不拡散など条約の運用状況を話し合うものです。会議に先立つ3年間、毎年1回準備委が開かれ、今回は2020年の会議に向けた第1回目となります。核軍縮を巡る核兵器保有国と非保有国の溝を埋め、「核兵器のない世界」実現へ前進するための重要な会合でした。
県主催シンポには岸田文雄外相ほか、国連軍縮研究所の上級研究員、ティム・コーリー氏らが出席。"平和の論客"たちを前に、私は母の手記を紹介しました。
「原爆という言葉を聞くと、熱い鉄板を押し当てられたような、あの瞬間がよみがえってくる」
母は、爆心地から1.4キロの広島市西区で被爆。原爆は、熱線で皮膚を焼き、放射能で後遺症を残し、母の人生を大きくゆがめました。被爆2世として生まれた私も、健康への不安にさいなまれ続けました。これは多くの被爆者、被爆2世、3世、4世が共通に抱く不安です。
この思いを、あの苦悩を世界中の誰にも味わわせたくない。核兵器廃絶はヒロシマの悲願――。こう訴え、核廃絶へ世界市民の連帯を呼び掛けました。
4日にはノルウェーのオスロ平和研究所、5日にはスウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)を訪問。特にSIPRIでは、湯崎英彦広島県知事が平和研究の連携協定に署名。今後、公明党も推進する県の「国際平和拠点ひろしま構想」にとって重要な場に立ち会うことができました。
今回の欧州訪問を通じ、被爆体験を感性に訴える意義とともに、科学的な平和研究を進める重要性も学ぶことができました。
「平和を語ることはできる。だが、平和のために行動することは難しい」。こう自らに問い掛けながら、核兵器廃絶を党是とする公明党の議員として、広島の地から、世界の人々の"感性と理性"に響く平和の発信を続けていく決意です。