e殺処分ゼロへ 犬や猫は飼い主を選べない

  • 2017.05.15
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年5月15日(月)付



人間の身勝手な都合で捨てられ、命を奪われる動物を少しでも減らしたい。

公明党東京都本部は、今夏の都議選重点政策に、犬や猫など「動物の殺処分ゼロ」を盛り込んだ。東京都も2020年の東京五輪・パラリンピックまでに殺処分ゼロをめざす方針を打ち出している。首都・東京が積極姿勢を示すことは、全国各地の取り組みの後押しとなるのではないか。

ペットをかけがえのない"家族"として大切にしている飼い主は多い。愛情を注がれるペットも幸せであろう。

一方、飼育放棄などで保護された犬や猫は全国で13万6724匹(15年度)に上り、このうち8万2902匹は殺処分された。近年は減少傾向にあるとはいえ、放置できない問題だ。

殺処分を減らす上で有効な対策は何か。第一に、保護された犬や猫の引き取り手を確保することであろう。具体的には、動物を救済・保護するシェルター(避難所)の整備を進め、保護された動物と里親希望者を結ぶマッチングを充実させたい。

すでに成果を上げている地域がある。神奈川県動物保護センターでは、民間団体などと協力して犬や猫を引き取り、県内各地で頻繁に譲渡会を開催、13年度に犬の殺処分ゼロを達成した。

保護された動物に新たな活躍の場を提供する事例もある。徳島県では、動物愛護センターに収容された犬を災害救助犬に育成し始め、4月に2匹が認定された。

ただ、いずれの取り組みもNPOやボランティアの手腕に頼るところが大きい。行政のバックアップが不可欠だ。この点、公明党の都議選重点政策で、保護、譲渡、教育など都動物愛護相談センターの機能拡充を掲げた意義は大きいといえよう。

飼い主のモラル向上も重要な課題である。公明党の推進によって12年に成立した改正動物愛護管理法では、ペットが命を終えるまで適切に飼育する「終生飼養」の責任が明記されている。

動物は飼い主を選べない。ペットを飼い続けられるのか、購入の際に冷静に検討すべきだ。ペットショップなど動物を販売する側も飼い主への意識啓発に努めてほしい。

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