eおいしくなった東京の水道水
- 2017.05.22
- 生活/生活情報
公明新聞:2017年5月22日(月)付
四半世紀かけ品質改善
高度浄水処理や独自基準の導入で
海外の研修生受け入れ、国際貢献も
水道水の悪臭や有機物を取り除く「高度浄水処理」の導入によって、かつて「日本一まずい」と酷評された東京都の水道水が、安全でおいしく生まれ変わった。これまでの経緯や都議会公明党の取り組みを紹介する。
日本一まずい?
東京都の水道水に「カビのにおいがする」といった苦情が多く寄せられるようになったのは、昭和40年代から50年代にかけてのこと。急速な都市化で生活排水や工場排水が水源の川に流れ込み、水質が悪化したためだ。
さまざまな対策が講じられたものの、決定打には至らず、厚生省(現・厚生労働省)の「おいしい水研究会」が1984年(昭和59年)に開催した利き水大会では、全国12カ所の水道水の中で最も「まずい」との評価を受けた。
こうした状況を受け、都水道局は順次、カビ臭物質やアンモニアなどを除去できる高度浄水処理の導入を開始。四半世紀をかけて五つの浄水施設を整備し、2013年には、水質が良好なため高度浄水処理の必要がない区域も含め、都の全域で安心でおいしい水が供給されるようになった。
現在、東京都は、国が定めた水質基準に加え、独自に8項目の「おいしさに関する水質目標」を掲げている。また、受水槽に水をためずに新鮮な水を提供できる「直結給水方式」への切り替えも進めている。
これらの取り組みが奏功し、都民を対象にした15年度の意識調査では、44.7%が水道水のおいしさについて「満足」と回答している。累計17万4000人を対象に実施した、ミネラルウオーターとの飲み比べキャンペーンでも、約半数が「水道水の方がおいしい」と答えた。
世界最高の技術
蛇口から出てくる水道水をそのまま飲める国は世界でも珍しい。その中で約1300万人の都民に高品質の水道水を安定供給する東京都の技術は、世界最高レベルと評されている。
都水道局は毎年、海外からの研修生を受け入れ、漏水防止や浄水処理、水質管理などの技術を伝えている。これには、11年度からの5年間で約2000人が参加した。開発途上国を中心とする9カ国に対しては、職員を派遣して技術支援を実施、各国の公衆衛生状況の改善をめざし、国際貢献も果たしてきた。
環境問題の観点からも水道水は注目されている。水道水は、ペットボトル詰めの水と比べ、容器の製造、輸送、廃棄が不要なため、二酸化炭素(CO2)の排出量が約1000分の1で済むからだ。
東京都が誇る水道システムをさらに進化させるため、今年2月には「東京水道イノベーションプロジェクト」を始動。18年に東京で開催される国際水協会(IWA)世界会議や、20年の東京五輪・パラリンピックに向け、国内外に東京の水道技術を発信するとしている。
都議会公明党が一貫して推進
東京都議会公明党は、都民が「安全でおいしい水」を利用できるように一貫して取り組んでいる。
高度浄水処理の導入に関しては、88年3月の都議会定例会で、特に苦情が多かった金町浄水場(葛飾区)に導入するよう提案。90年9月の定例会では、他の浄水場にも導入するよう強く要請している。
おいしくなった水道水の宣伝方法としては、国内外から多くの観光客が訪れる場所に水飲栓を設置するよう提言した。その結果、都水道局のキャラクター「水滴くん」をモチーフにしたデザインで、冷水機能や災害時の応急給水機能を備えた水飲栓の設置につながった。