e女性視点の防災 避難生活を乗り切る提案に期待

  • 2017.05.22
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年5月22日(月)付



東京都が2015年に全世帯に配布した防災ブック「東京防災」は好評で、都民の意識向上に役立っている。

これを推進した都議会公明党が昨年12月、今度は「女性視点の防災ブック」の作成を提案。小池百合子都知事も賛成し今年度予算に検討・作成費3億円が盛り込まれ、先週、女性有識者による編集・検討委員会の初会合が開催された。予定では来年3月までに発行される。

防災を多様な視点から検討し知識を豊かにする作業は、都民の命を守るために不可欠である。都議会公明党によると、女性対象の冊子ではなく、女性が発見した問題点を提起する冊子にし、家族や地域でその問題解決をめざす際のガイド役にしたいという。

党東京都本部女性局が2月に都内で開催した「女性の視点をいかした防災対策」フォーラムでも、女性らしい防災対策が紹介された。

例えば、「非常持ち出し袋」は1個ではなく家族の人数分が必要であり、その置き場所を確保するには、1年以上使っていない物を片付けたり、分散備蓄する選択肢もある。これは家族で話し合うべきテーマだ。

また、食糧は1週間分を備蓄し、それを少しずつ使って新たに補充する方法も考えられている。"コンビニ頼み"にも無理がある。災害時は道路が寸断され、商品補給がすぐに途絶えるからだ。

こうした女性視点の取り組みは社会の中でも広がっている。避難場所での授乳に関し、便利だが日本で製造されていない液体ミルクを求める声も上がっている。

今、注目されているアイデアに、防災アドバイザーの岡部梨恵子さんが紹介している「パッククッキング」という調理方法がある。カセットコンロと鍋、ポリエチレン袋だけで温かい料理ができる。2、3品同時に調理可能で洗い物も出ない。不自由な避難生活の中でも、温かい食事があれば新たな活力が生まれるとの思いから考案された。

防災ブックにはこうした知恵が満載されるだろう。

30年以内に70%の確率で発生すると予測されている首都直下地震。防災対策に見落としはないか。「女性視点」でチェックしてほしい。

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