e無料Wi―Fi 訪日客の使い勝手も考えたい
- 2017.05.23
- 情勢/解説
公明新聞:2017年5月23日(火)付
2020年に再び五輪が開催される東京。1964年当時と異なるのは、インターネットやスマートフォン(スマホ)などに代表される情報通信技術の発達であろう。
東京都は現在、五輪会場周辺や外国人の人気スポットを中心に、ネット利用者のニーズが高い無料Wi―Fiの整備を急ピッチで進めている。19年度末までに専用アンテナ700基を設置、このうち100基には電子観光案内板「デジタルサイネージ」を併設する方針だ。20年五輪成功のカギとなる取り組みだけに、着実に進めてほしい。
実際、通信環境の整備を望む訪日外国人の声は多い。総務省と観光庁の調査によれば、外国人が「旅行中に困ったこと」で最も多いのが無料Wi―Fiが使えないことだという。行政として整備を推進する必要性は高い。
無料Wi―Fiは、特定の事業者と契約しないと使えない有料Wi―Fiに対し、外出先でネットに無料で接続できるサービスのこと。駅や飲食店など利用できる場所が増えており、集客効果も期待できるという。
ただ、無料Wi―Fiの普及を進めるに当たっては、留意すべき点がある。
例えば、訪日客から使い勝手の悪さを指摘されていることだ。無料Wi―Fiは、運営する事業者ごとに利用者が登録手続きをする必要があるため、移動するたびに登録の手間がかかるケースが少なくない。
この点、東京都では東京メトロや都営地下鉄、都営バスなどが、一度登録すればどの交通機関でも利用できる仕組みを導入した。自治体としては初めての取り組みであり、他の自治体でも参考になるのではないか。
海外では自治体単位でWi―Fiを整備するエリア整備が一般的だが、日本の場合、交通機関や飲食店などがそれぞれ整備しているのが現状だ。利用者の視点で考えれば、地域単位の取り組みも必要であろう。
都議会公明党は、地下鉄駅などへの無料Wi―Fi設置を進めてきた。都議選向け重点政策も「無料Wi―Fiの整備強化」を掲げており、快適な利用環境の整備を強力に後押しする決意だ。