eイラン大統領選 融和路線を国際社会も後押しを

  • 2017.05.24
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年5月24日(水)付



「国民は暴力や過激な考え方から決別し、世界と対話する道を選んだ」

イラン大統領選で再選された現職のロウハニ大統領は、選挙結果を受けたテレビ演説でこう強調した。保守穏健派の同大統領は、対外融和を重んじる。国際社会も同大統領の国際協調路線を後押ししていくことが必要である。

大統領選では、反米の保守強硬派であるライシ前検事総長と事実上の一騎打ちとなったが、ロウハニ大統領が大差で圧勝した。

ライシ師が大統領となれば、イランは再び米国と鋭く対立し、国際的な孤立を深めたであろう。「二度とイランを孤立させない」というロウハニ大統領の訴えが、多くのイラン国民の心をつかんだことは想像に難くない。

一方で、トランプ米大統領は就任後初めての外遊先として訪問したサウジアラビアで、50カ国以上のイスラム諸国の首脳を前に「イランを孤立させなければならない」と演説した。

米国がイランへの敵対的な姿勢を強め、ロウハニ政権を追い詰めれば、それに対抗しようと、イランの保守強硬派が勢力を増すことは明らかだろう。

ロウハニ政権は2015年に、核兵器製造につながらぬよう核開発を制限することで欧米など6カ国と合意したが、これが破棄されれば、イランの核兵器開発計画の再開という最悪の事態さえ招きかねない。トランプ米大統領には慎重な対応を求めたい。

重要なのは、より幅広い分野で、イランを国際社会の責任ある一員として導き入れることである。

例えば、欧米諸国や日本など各国は、核開発に関する制裁を解除したが、ミサイル開発に関わる制裁は継続している。ストックホルム国際平和研究所によると、北朝鮮にとってイランは最大の武器輸出先であり、イランと北朝鮮はミサイル開発で密接に協力していると指摘されている。

だからこそ、ミサイル開発も平和的利用に制限するようイランを説得できれば、北朝鮮のミサイル問題の解決へ影響を与える可能性がある。

イランとの友好関係を維持し、同国からの信頼の厚い日本も関与を強めていきたい。

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