eコラム「北斗七星」

  • 2017.05.29
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年5月27日(土)付



極上のパウダースノーと、ゲレンデから望む蝦夷富士・羊蹄山の偉容。豊富な温泉や"食"。数々の魅力に引き付けられるように、オーストラリアからのスキー客が北海道ニセコ地区に訪れ始めたのは15年ほど前のこと。今では、すっかり国際的なリゾート地の趣に◆この間、スキー場のある倶知安、ニセコ両町と、隣接する蘭越町にはホテル300軒、別荘200棟と新築ラッシュ。3町で人口1万5000人ほどの地域に、外国人客(インバウンド)だけでも年間延べ60万人が宿泊する◆こうした"活況"とは裏腹に、先ごろ道経済産業局がまとめた報告では、「観光客や投資の増加が、自治体の財政力や町民所得の向上に十分につながっていない」。背景には、働き手の不足や、莫大な海外資本の流入などがあり、急速な成長を取り込むだけの環境整備が追い付いていないという◆倶知安、ニセコの両町は、そうした課題に対応しようと法定外目的税の「宿泊税」導入を視野に。地域交通網や案内表示の拡充などに向けた財源確保をめざす◆観光政策に詳しい識者からは、「フランスやスペインなど歴史ある"観光先進国"と比べれば、日本はこれから」との声も。国が掲げる「2020年にインバウンド4000万人」を、確実に地域の活性化につなげる取り組みが急がれる。(武)

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