e福島GAP挑戦宣言 農産物の風評払拭の決定打に

  • 2017.05.29
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年5月29日(月)付



風評払拭に向けた強力な武器となろう。断固、「日本一」の称号を勝ち取ってほしい。

東京電力福島第1原発事故から6年余り、今なお福島県産農産物に対する風評が根強く残る中、福島県とJA福島中央会が、GAP(ギャップ、農業生産工程管理)の第三者認証の取得数日本一をめざす「ふくしま。GAPチャレンジ宣言」を打ち出した。

認証に裏付けられた高水準の農業生産体制を確立することで、風評を払拭し、販路の拡大と新たな"福島ブランド"の構築につなげるのが狙いだ。2020年度までに県産農産物の出荷販売数量の半分以上をGAP認証産品で占めるようにする。

GAPは、食品の安全性や環境保全などに配慮して営農していることを第三者が認証する仕組み。国際水準の「グローバルGAP」と日本版の「JGAP」があり、20年の東京五輪・パラリンピックでは食材提供の基準要件に採用される予定だ。

ただ、取得に費用がかかり、営農管理や申請手続きも煩雑なため、国内での導入状況は芳しくない。3月末現在、取得件数は全国で1000件程度で、トップの北海道でも91件。福島はわずか10件と県内全出荷販売数量の0.1%にとどまっている。

このため県は、農林水産省のガイドラインに準拠した独自の公的認証「県GAP」を今夏に創設。取得や更新に関わる費用を全額補助して、20年度までに県GAPとグローバルGAP、JGAP合わせて360件超の取得に挑む。

極めて高いハードルだが、達成できれば福島農業への評価は一気に高まり、風評を一掃して復興を格段に加速させるものと期待される。

もとより福島県産農産物は、玄米だけでも1000万件を超える徹底的な放射性物質検査を行っており、安全性は既に実証済みだ。基準値を超える産品は一品として市場に出回っていない。

にもかかわらず、出荷販売数量も価格も原発事故前の水準を杳として回復できないでいる。典型的な風評被害だ。

この"見えない壁"を全県挙げてぶち破ろうと打ち上げた「GAPチャレンジ宣言」。国も民間も呼応して、全面的に後押ししていきたい。

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