e待機児童問題 新計画の実現に総力挙げよ

  • 2017.06.02
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年6月2日(金)付



保育ニーズの高まりに、政治はしっかりと応えなければならない。

認可保育所に入れない待機児童の解消をめざす政府の新計画「子育て安心プラン」が発表された。遅くとも2020年度末までに、新たに22万人分の保育の受け皿を整備し、待機児童ゼロをめざす。

政府は、待機児童問題を最優先課題と捉え、13~15年度で保育の受け皿を約31万4000人分増やした。しかし、働く女性が想定以上に増えたため、16年4月時点の待機児童は2万3553人と、高止まりしたままだ。

17年度末をめざした待機児童ゼロを3年先送りする形となったことを厳しく受け止め、新計画の目標を前倒しで実現するくらいの姿勢で取り組むべきだ。目標達成の再度先送りは許されない。

新計画では、女性(25~44歳)の就業率が16年の72.7%から22年度末に80%まで上がると想定している。女性の社会進出が進む欧州先進国と同じ水準であり、まずは妥当な想定といえよう。

注目したいのは、待機児童問題の焦点を明確にして対策を示していることだ。

例えば、待機児童の7割は1、2歳児が占めている。この点、新計画では、通常3歳から就学前までが対象の幼稚園での2歳児の積極的な受け入れや、少人数の子どもを預かる家庭的保育事業(保育ママ)の推進を掲げている。

また、待機児童問題が深刻な都市部では、高騰する保育施設の賃借料補助や大規模マンション内の保育所の設置促進などを行う。いずれも公明党が昨年3月に安倍晋三首相に提言した内容が反映されたものであり、評価したい。

新計画の実行に当たって指摘しておきたい点がある。それは、全国の待機児童の3分の1超を抱える東京都をはじめ実際に待機児童対策を行う自治体との連携強化である。保育士
待遇改善を通じた保育の質確保も欠かせない。

野村総研のアンケートによると、就学前の子どもを持つ保護者の7割は、希望通りの保育サービスがあれば、もう1人子どもを持つことに前向きになると回答している。

安心して子どもを産み育てられる社会を、何としても実現したい。

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