e東京の農と食の魅力 発信

  • 2017.06.07
  • エンターテイメント/情報

公明新聞:2017年6月7日(水)付



日本の人口の1割超が集中する大都市・東京で、地元産野菜の魅力を発信する動きが広がっている。4月には情報発信拠点「JA東京アグリパーク」(渋谷区)が開設され、連日多くの人でにぎわう。消費地に近い都市農業の利点を生かし、都民に安全で新鮮な食材を届けるこの施設の取り組みなどを紹介する。


都心に開設されたアグリパーク


朝採れ新鮮野菜が好評


◆料理教室や体験も

JR新宿駅から徒歩4分の高層ビルを訪ねると、そこには大都会とは思えない光景が広がっていた。入り口には色鮮やかな野菜満載の船が出迎え、中に入ると、さまざまな東京産の食材が目に飛び込んできた。

4月、このビルの1階にオープンしたのは、JA東京中央会が主体となって運営する「JA東京アグリパーク」。サブマネージャーを務める奥田康穂さん(32)は、「見て、触れて、食べて、東京の農や食に関心を寄せてほしい」と語る。

ここでは、東京をはじめ全国各地の新鮮な野菜を購入できるほか、東京産の食材を使った料理が味わえる。また、親子料理教室やそば打ち体験など、農業や食育に関するイベントが、週替わりで実施されている。

客層は主婦や学生のほか、サラリーマン、OLなどさまざま。立地の良さから、訪日外国人客も多く訪れるという。

取材で訪ねた日は、足立、葛飾、江戸川の各区で作られた野菜をPRするイベントが開催されていた。葛飾区でコマツナなどを栽培する農家の若林武人さん(66)は、「苦労して育て、今朝摘み採った野菜が目の前で買われていくのは、生産者にとって大きな喜びです」と話す。

また、初めてアグリパークを訪れた渋谷区在住の女性(35)は「東京には生産者の顔まで見える売り場が少ない。子どもが小さいので、安心して野菜を買える」と笑顔を見せた。

市街地やその周辺地域で行われる都市農業は、安全で新鮮な農産物を消費地に供給するだけでなく、農業体験の場や災害時に備えたオープンスペースの確保、安らぎの緑地空間の提供など、多面的な役割を果たしている。

アグリパークの奥田さんは「都市農業を守ることは、大消費地・東京の食文化を支えることにつながる。この施設から、農業を盛り上げていきたい」と語っていた。


伝統作物を次代へ


江戸東京野菜-雑司ヶ谷ナス、馬込三寸ニンジン、練馬ダイコン...

都市農業への関心が高まる中、都内各地で古くから作られてきた伝統野菜も注目されている。

中でも、東京の地名が付いた雑司ヶ谷ナスや馬込三寸ニンジン、練馬ダイコンなどは「江戸東京野菜」と呼ばれ、独特の形や個性的な味わいなどが特徴だ。

これらは、江戸時代から昭和にかけて東京近郊で作られてきた野菜。しかし、大量生産に向かない上、他の野菜と交雑しないように距離を離して栽培したり、農家が自ら受粉作業を行う必要があるなど、手間も掛かる。

このため、戦後は生産が激減したが、JA東京中央会が次世代に残そうと、2011年から認定制度をスタート。現在までに45品目が登録されている。

一方、都は江戸東京野菜をはじめとする東京産の食材を積極的に使用する料亭やレストランを増やそうと、10年7月から飲食店の登録制度を始めた。5月末時点で、都内334店舗が「とうきょう特産食材使用店」に登録されており、都のガイドブックやホームページで紹介されている。


都市農業振興に全力


公明が国と都で連携

公明党は都市農業振興プロジェクトチーム(PT、高木美智代座長=衆院議員)を中心に、都市に農地は「あるべきもの」と位置付けた都市農業振興基本法(2015年4月成立)の制定や基本計画の策定(16年5月)をリードするなど、持続可能な都市農業をめざし全力を挙げている。

都議会公明党も、同PTと連携しながら、都市農業の振興や地産地消の促進へ、議会質問や予算要望などで積極的に推進してきた。

中でも、谷村たかひこ都議(都議選予定候補=北多摩1区)は13年6月議会の代表質問で、都の支援策拡充を訴えている。16年12月には、会派で小池百合子知事に、首都・東京の農業の魅力と価値を国内外に発信するよう提言した。

さらに、都議選の重点政策では、東京産の食材を世界にアピールするために、東京五輪・パラリンピックの選手村などで東京産の食材を提供することなどを掲げている。

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