e首都圏の交通渋滞 大きな経済損失。 緩和策さらに

  • 2017.06.07
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年6月7日(水)付


人の往来や物流を停滞させる交通渋滞は、経済に大きな損失を招く最大の原因の一つであり、対策を急ぐ必要がある。
国土交通省によると、国民1人当たりの道路移動時間(年間約100時間)のうち、約4割は渋滞に費されており、労働力に換算すると年間約280万人分が失われている状況が生じているという。
これによる日本国内の経済損失は年間約12兆円に上るというから、事態は深刻である。経済活動のために有効に使えるはずの時間を失わないためにも、渋滞の緩和に向けた取り組みを進めたい。
特に、首都圏の道路に渋滞が集中している。首都圏とは、関東の1都6県(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)と山梨県を含む地域である。
国交省が先月26日に発表した2017年版の「首都圏白書」によると、首都圏の渋滞で失われる年間の労働力は80万人規模に相当するという。全国の道路渋滞で失われる年間労働力の約3割を、首都圏だけで占めている。このため、公明党東京都本部も都議選の重点政策で、首都圏の渋滞緩和を掲げている。
とりわけ対策を急ぎたいのが東京都だ。渋滞による労働力の損失は年間約25万人分と突出している。渋滞が慢性化しやすい首都高速道路(首都高速)をはじめ、渋滞緩和が必要な道路が集中している現状をどう改善するか。
この点で注目したいのが、東京都心から半径40~60キロメートル圏を環状に結ぶ首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の活用である。
東京から放射状に延びる東名、中央、関越、東北、常磐、東関東道の6路線が圏央道と結ばれており、広域輸送のトラックなどが東京都心を経由せずに通行できる。
国交省によると、圏央道の整備に伴い、首都高速の交通量は1%減少したという。わずか1%ではあるが、首都高速全体の渋滞により物流などが滞る時間が1割減少するという効果が確認された。
今後は、ETC(自動料金収受システム)の普及や、利用頻度の高い車両への割引料金の適用などにより圏央道の利用を促進し、首都圏の渋滞緩和をさらに進めたい。

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