e再生可能エネルギー

  • 2017.06.12
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年6月10日(土)付



環境と経済の両立に欠かせない



太陽光や風力発電といった再生可能エネルギーの導入が世界中で広がっている。地球温暖化につながる二酸化炭素(CO2)の排出を限りなく減らす「脱炭素社会」の実現に向け、この流れをさらに加速させる必要がある。

エネルギーの専門家らでつくる国際団体「21世紀の再生可能エネルギーネットワーク」(REN21)は、大型水力発電を含む世界の再エネ発電能力が、初めて20億キロワットの大台を超えたとの調査結果を発表した。

これは、全世界の発電能力の4分の1に相当する。再エネの導入が世界規模で前進しているといえよう。

米国が離脱表明したとはいえ、国際的枠組み「パリ協定」の発効に象徴されるように、地球温暖化対策の推進は世界的な潮流である。ただ、トランプ米大統領のように、温暖化対策と経済成長の両立は難しいとの見方はいまだに根強い。

この点で注目したいのが、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の報告書だ。

これによると、2012年に世界で500万人だった再エネ分野の雇用者数は、16年には980万人に倍増した。30年には2400万人に達すると見られており、化石燃料分野における雇用者数の減少分を上回るという。雇用の面からも再エネ導入のメリットが示されたといえそうだ。

日本も再エネの導入に注力している。国内の全発電量に占める再エネの割合を、現在の約12%から30年度までに22~24%に拡大することが目標だ。

既に5割を達成しているデンマークや約3割のドイツなど欧州の再エネ先進国に比べれば遅れを取っているものの、太陽光発電の累積発電量でドイツを抜いて世界2位になるなど、日本は再エネの導入を加速させている。

これは、再エネを電力会社が買い取る「固定価格買い取り制度(FIT)」の普及が大きな要因となっている。実際、12年7月の制度開始から4年間で、再エネの導入量は2.5倍に拡大した。さらなる拡充に取り組むべきだ。

官民挙げて技術革新や導入コストの低下に取り組み、温暖化対策で国際社会をリードする役割を日本が担いたい。

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