eコラム「北斗七星」

  • 2017.06.14
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年6月14日(水)付



「事実は小説よりも奇なり」というが、将棋界に作り話のような出来事が起きている。現役中学生プロ棋士の藤井聡太四段の快進撃だ。史上最年少記録である14歳2カ月でのプロ昇段に加え、これまで公式戦25勝無敗。デビュー後の連勝記録を更新し続けている◆記録尽くしの藤井四段。先日は将棋界を代表するトップ棋士の羽生善治三冠を非公式戦ながら破り、記憶に残る勝負も。対局後の、「すごい人が現れた」という羽生氏のコメントが印象的だ。現時点で敵なしにも見えるが、まだ中学生。どこまで強くなるのか、将来が楽しみ◆その将棋界ではAI(人工知能)の台頭も著しい。動揺することがなく疲れを知らないから、勝つのは至難の業かもしれない。先月行われた「電王戦」最終局では人間棋士が敗れ、5年間に及ぶAIとの戦いに決着がついた◆とはいえ、将棋界は下火になるどころか、藤井四段効果で大いに盛り上がっている。羽生氏が25歳で全タイトル戦を制覇し、「羽生世代」の一時代を築いたように、新しい時代の幕開けは青年が開く◆卓球はじめスポーツ界でも若い世代の活躍が光る。青年が育つかどうかで、次代の興隆が決まるといえよう。新しい人だからこそ、新しい力を持っている。閉塞感も漂う日本だからこそ、この視点を大事にしたい。(扶)

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