eテロ等準備罪法Q&A
- 2017.06.19
- 情勢/解説
公明新聞:2017年6月18日(日)付
15日に「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法(テロ等準備罪法)が成立しました。テロ等準備罪の必要性や、参院本会議での法案採決のあり方などについて、Q&A形式で解説します。
Q なぜ必要なのか?
A テロを未然に防ぐため
テロ等準備罪の目的は、テロなどの組織的な重大犯罪を未然に防ぐためです。
テロの未然防止には、国際的な情報交換や捜査協力が欠かせません。それに必要なのが国際組織犯罪防止条約(TOC条約)への加盟です。TOC条約は、加盟の条件として、重大犯罪の「合意」段階で処罰する法律の整備を求めています。
また、テロ等準備罪は内心の思想・良心を処罰するものではありません。
テロ等準備罪は、テロ組織など「組織的犯罪集団」の構成員が2人以上で重大犯罪を具体的・現実的に「計画」し、さらに、計画実行のための下見や凶器購入といった「実行準備行為」があって初めて処罰します。「計画」を共謀しただけで処罰する共謀罪とは全く違います。「上司を殴ってやろうと居酒屋で話し合っただけで犯罪になる」といったことは起こり得ません。
Q 「監視社会」になるの?
A 一般市民は捜査の対象外
「警察の捜査が広がり監視社会になる」との批判は、そのためにどれだけのマンパワー、コストがかかるかを考えても、あまりに非現実的です。
テロ等準備罪の犯罪主体はテロ組織や暴力団、薬物密売組織など重大な犯罪を目的とする「組織的犯罪集団」に限定されました。一般人は当然として民間団体や労働組合が、テロ等準備罪の対象になることはありません。
テロ等準備罪の捜査は、通信傍受法の対象犯罪ではないことから、メールやLINEが傍受されることもありません。
しかも、逮捕など強制捜査に必要な令状を出すのは裁判所です。警察が嫌疑もなしに令状を請求しても裁判所は絶対に認めません。
Q 委員会採決の省略は乱暴だ
A 民・共の"審議拒否"が原因
参院法務委員会での採決を省略するような手続きを行ったことに対して、「乱暴ではないか」との指摘がありますが、そもそも参院法務委は、秋野公造委員長(公明党)の下、野党の質問機会を十分に確保しながら、丁寧に審議を進めてきました。
しかし、民進、共産の野党両党は最初から徹底して「廃案ありき」に固執し、金田勝年法相の問責決議案の提出などで委員会審議を無理やりストップ。「法相の下で審議することは不可能」とまで言い切り、事実上の"審議拒否"をする中、混乱なく採決を行う状況は望めませんでした。
このため、委員会での採決を省略して、本会議で採決を行う場合に用いられる「中間報告」という手続きを取りました。
中間報告は、過去にも金融機能強化法(2004年)など参院で18回行われており、決して異例なことでも"禁じ手"でもありません。
Q 公明党が言い出したのか?
A 根拠なし。自民提案まで関知せず
中間報告は"公明党が言い出した""「加計学園問題」の追及を避けるために行った"などとも報じられていますが、そんな事実も根拠もありません。実際、参院議院運営委員会で自民党から中間報告の提案を聞くまで、公明党は全く関知していませんでした。16日付の一般紙でも報じられている通りです。
参院法務委員長を務める公明党への配慮から中間報告を行ったかのような報道も間違いです。中間報告を行ったのは、民進、共産が不信任・問責決議案を乱発し、廃案ありきの審議拒否を続けたからです。
また、加計学園問題と中間報告は全くの無関係です。同学園の獣医学部新設に関する文書では、公明党が迅速な再調査を一貫して求め、文部科学省は15日に再調査結果を発表。国会では、16日の参院予算委員会で集中審議が行われ、加計学園問題について議論が交わされました。