e都市農業の振興 意欲ある担い手が活躍してこそ

  • 2017.06.22
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年6月22日(木)付



都市住民の間で関心が高まりつつある都市農業の振興に役立てたい。

公明党の推進により、先の国会で成立した改正生産緑地法が施行された。衰退する都市農業を守るため、市街化区域の農地の税負担を軽くすることが柱だ。

住宅や商店、ビルなどが立ち並ぶ市街化区域内にある農地には、宅地並みの重い税負担が課せられている。これは、高度経済成長期の宅地不足の解消をめざし都市部の農地を宅地化するためだった。

しかし、人口減少時代に入って農地の宅地転用の必要性が低下する一方、新鮮で安全な農産物を供給し、災害時には避難場所ともなる都市農地の役割が見直されている。

このため今回の法改正で、市街化区域内の農地を維持できるよう税負担を軽くする措置が盛り込まれた。

すなわち、区市町村が条例を制定することで、優遇税制が適用される生産緑地の面積要件を「500平方メートル以上」から「300平方メートル以上」に緩和できるようにした。農地が生産緑地の指定を受けると、固定資産税の軽減や相続税の猶予が認められる。都市部の農家にとって朗報であろう。

このほか、これまで制限されていた生産緑地への直売所や農家レストランの設置を認めた。収穫したばかりの新鮮な野菜をその場で買ったり、食べたりできるようになる。農家のアイデアを生かせる環境の整備も都市農業の振興につながるに違いない。

今後の課題として見逃してならないのは、やはり農家の高齢化と後継者不足である。市街化区域内の農地面積が、この20年間に半減した理由の一つもこの点にある。

高齢農家が農地を維持するには、第三者に農地を貸し出すという手法がある。しかし現行制度では、生産緑地に指定された農地を貸し出した場合は相続税の猶予が打ち切られてしまう。

このため公明党は今月14日、都市農地の活用をさらに促進する提言を山本有二農林水産相に申し入れた。生産緑地の貸借を促す新たな法制度の整備などを求めている。

農地を借りて営農する意欲と能力のある担い手が活躍できる環境を整える視点も、都市農業の振興に欠かせない。

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