e共産が悪宣伝「都の老人福祉費が42位」!?
- 2017.06.26
- 情勢/解説
公明新聞:2017年6月24日(土)付
まやかしの数字で不安あおる
本当は全国トップレベルの充実度
共産党は、東京都の歳出総額に占める老人福祉費の割合(構成比)が47都道府県の中で、1998年度は2位だったが、2015年度には42位に転落し、一方で土木費は40位から21位にアップしたと悪宣伝。公明党などが「暮らし・福祉を削り、巨大開発を推進するという、逆立ちした都政」を進めてきたと批判していますが、全くのデタラメです。
まず、都の15年度における老人福祉費では、介護保険と後期高齢者医療にかかる費用が「義務的経費」(国の制度として支出が義務付けられた経費)として約3分の2を占めています。残りの3分の1が、各自治体の裁量により内容や規模を決めることができる「政策的経費」です。しかし98年度は、まだ介護保険制度と後期高齢者医療制度がありませんでした。この二つの制度がなかった年度と、両制度が含まれている年度の老人福祉費を比較しても、都の高齢者福祉政策の傾向を正しく読み取ることはできません。
ちなみに、この政策的経費が都の老人福祉費に占める割合を見ると、15年度は東京都は34.2%(全国平均18.3%)で、47都道府県中1位です。この政策的経費には、特別養護老人ホーム、認知症グループホームといった老人福祉施設の整備や、70歳以上の都民が都営交通や都内の民営バスに乗車できるシルバーパスなどにかかる費用が計上されています。中でも、シルバーパス制度は「導入している自治体は、都道府県レベルでは東京都だけ」(都福祉保健局)。
このように都の高齢者福祉の充実度は全国トップレベルです。
また、なぜ都の老人福祉費において義務的経費が少ないのかといえば、後期高齢者医療制度の対象となる75歳以上の人口が、高齢者人口の47.9%(47都道府県中35位)と比較的少ないことが挙げられます。このため、老人福祉費全体の割合が他の道府県より少なく見えるだけなのです。従って、東京の老人福祉費が削られているなどと言えないことは明らかです。
一方、共産党は、土木費の割合が他の道府県よりも増えていることを引き合いに出していますが、そもそも首都である東京都と他の道府県とは、地域の特性や人口密度など異なる要素が多く、単に土木費の割合だけを比較することに意味があるのか疑問です。
共産党は、このような実態には触れずに、自分たちの思惑に合うような数字だけを切り取り、「逆立ちした都政」などと一方的に批判しているのです。まやかしの数字を躍らせて、党利党略のために都民の不安をあおる共産党に、決してだまされてはいけません。