e多くの赤ちゃんを救いたい

  • 2017.06.26
  • 生活/子育ての補助金・助成金

公明新聞:2017年6月26日(月)付



不育症治療費の助成始まる
年齢・所得制限なし
専門医と連携 公明議員の提案実る
静岡・小山町



「不育症を知り、適切に治療すれば年間5万3000人の赤ちゃんの命を救うことができます。経済的負担を軽減して治療を受けやすくするべきです。治療費助成はいつからやるのですか」。今年3月、静岡県小山町議会で質問に立った公明党の池谷洋子町議が込山正秀町長に決断を迫った。この質問で町長は6月スタートを明言。2013年3月議会で不育症治療費の助成を提案して以来、粘り強く訴えてきた同町議の思いが結実した瞬間だった。

年間5万3000人という数字は、1978年に日本で初めて不育症専門外来を開設した専門医で、現在は同町内にある富士小山病院の院長を務める牧野恒久氏の著書「『不育症』をあきらめない」(集英社新書)にある。今議会で何としても実現への道筋をつけたかった池谷町議は今年1月、説得力のある質問原稿を作るために思い切って牧野医師を訪ね、専門的な指導を求めた。そこで、年間30万件ある自然流産のうち、治療対象となる患者に不育症治療を施せば年間5万3000人の赤ちゃんが救えること、この数字は体外授精で生まれる子の数より多いことを知った。「不育症治療は、晩産晩婚時代の少子化対策の盲点です」と熱く語る牧野医師のアドバイスを質問原稿に織り込み、議会に臨んだ。

牧野医師によると、流産や死産などを繰り返す不育症患者数は全国で15~20万人。適切な検査や治療をすれば8割以上が出産できるというが、不育症が病気であることを知らずに悩んでいる、知っていても高額の検査・治療代がネックになって病院に行かないケースが少なくない。

今月からスタートした同町の不育症治療費助成は、1年につき1回の検査・治療を対象に、20万円を上限として費用の7割を助成する(通算5回まで)。中でも、牧野医師が「全国に誇っていい」と高く評価するのは、助成対象者の年齢制限と所得制限を設けなかったことだ。特に、年齢制限については多くの自治体が43歳未満にしており、「医療現場では(42歳での治療費助成打ち切りが)残酷な線引きの年齢になっている。池谷議員の尽力と小山町の決断に感謝したい」と述べた。

池谷町議はこのほど、富士小山病院を訪問し、助成制度の実現を報告。牧野医師は同町議の尽力を称えるとともに、治療している患者が今回の助成を知って小山町から他市へ移転する予定を急きょ取りやめたという、うれしい報告も。「安心して出産できるよう支援すれば定住促進にもつながる。本当にうれしい」と、"想定外の成果"に両氏の会話も弾んだ。

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