e事前防災 地域の"急所"へ手当て早急に

  • 2017.06.27
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年6月27日(火)付



大分、そして長野と震度5強の地震が相次ぎ、土砂崩れなどの被害が発生した。被災された方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、余震への警戒を続けたい。九州では大雨で地盤が緩み、土砂災害の危険も高まっている。

"災害列島"と形容されるわが国にとって防災は、政治の最優先課題の一つだ。

政府が閣議決定した2017年版の防災白書は、昨年の熊本地震の教訓を踏まえ、災害時の事業継続・復旧に備えた行動手順を定める事業継続計画や、被災自治体が全国の支援を受け入れる受援体制をあらかじめ整えておく必要性に触れ、改めて「事前防災」の取り組みを強調している。

首都直下地震は30年以内に70%、南海トラフ地震は10年以内に20~30%の確率で発生が予想されるだけに、事前防災の具体化が欠かせない。

とりわけ、企業や自治体による対策に注目したい。

例えば熊本地震の被災企業へのアンケートでは、地震の際に有効だった取り組みとして、最も多かったのが「備蓄品の購入、買い増し」で46%、次いで「災害対応責任者の決定、災害対応チーム創設」が38%と続いた。

国連開発計画(UNDP)も「(防災・減災対策に)1ドルを投ずるごとに、災害時に生じる経済損失の7ドル分を回避できる」と指摘している。何より、尊い命を守るための投資を惜しんではならない。

白書で気になるのは、災害時に支援物資を受け入れるために都道府県が設置する広域物資輸送拠点の半数で、耐震性や床の強度、非常用電源が不十分という実態だ。首都圏の拠点は基準を100%満たすが、南海トラフ地震で大きな被害が懸念される10県は53%にとどまる。備えのバラツキを解消する必要がある。

事前防災の"急所"は、地域ごとに異なるという点も指摘しておきたい。

例えば都議会公明党は重点政策に、ゲリラ豪雨対策としての広域調節池の整備を掲げた。これは、住宅やビルなどが密集していて雨水の逃げ場が少ないという東京の地域性を踏まえたものだ。

全国の自治体でも各地域の実情に応じた対策をどう進めるかが問われている。公明党の地方議員の役割は大きい。

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