e喜界島に水難救助隊

  • 2017.06.28
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年6月28日(水)付



奄美群島(鹿児島)で初
海の事故に迅速対応
消防隊員が専門資格取得
公明 救命率向上求め後押し



海の救命率向上に向けて、鹿児島県喜界町(喜界島)を管轄する大島地区消防組合喜界消防分署は4月、水難救助隊を結成した。同救助隊の設置は奄美群島では初めてとなる。設置を後押ししてきた町議会公明党の生駒弘議員がこのほど、同分署を訪れ、前泊哲治署長から話を聞くとともに、隊員を激励した。

「人命救助のために、備品の点検や日頃の訓練は怠りません」。玉岡悟隊員は力強く語る。水難救助隊が結成された背景には、2014年7月に同島で起きた死亡事故がある。釣りをしていた60歳代男性の島民が海に転落して、そのまま帰らぬ人となった。奄美群島内で起きる海に関する事故は、奄美大島にある奄美海上保安部(奄美市)に救急要請される。ところが、出動要請から、同保安部の巡視船が喜界島に到着するまでに約1時間かかるのがネックだった。

事故を教訓に同町の消防関係者らは、離島という環境だからこそ、いざという時に迅速に水難救助ができる態勢の必要性を強く実感。水難救助隊結成に向けた同分署の動きが始まった。

水難救助隊を設置する場合は原則、5人以上の専門的技術を持った隊員で構成することが求められる。同分署では15年7月、15人の隊員のうち、7人が潜水士の国家資格とスキューバダイビングの技能認定証取得に向けて訓練を開始。通常の業務の合間を縫って、学習と水中での訓練に励み、翌16年10月に全員が資格を取得した。

専門的な技術を身に付け資格を取得したことで、隊員単独で酸素ボンベなどの装備を装着しての救助活動が可能になった。消防分署の前泊署長は「島と海は切り離せない関係で、いつ事故が起きても対応できる心構えが必要。今後は、奄美群島の他地域でも水難救助隊の設置を検討してほしい」と語る。水難救助隊は現在、奄美海上保安部と連携し、海中での捜索訓練を行うなど技術向上に励んでいる。

水難救助隊については、生駒議員が長年にわたって消防隊による救命率向上を強力に訴えるなど、その設置を後押ししてきた。

視察後、生駒議員は「19年の世界自然遺産登録へ向けて奄美群島は注目が集まり、喜界島でも観光客が増える可能性がある。万一に備えた人命を守る施策を、さらに推進していきたい」と語っていた。

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