e子どもの貧困率 依然高い水準。教育支援さらに
- 2017.06.29
- 情勢/解説
公明新聞:2017年6月29日(木)付
「子どもの貧困率」が12年ぶりに改善した。平均的な所得の半分に満たない世帯で暮らす17歳以下の子どもの割合のことである。
厚生労働省が27日に公表した国民生活基礎調査によると、2015年時点の子どもの貧困率は13.9%だった。同調査は3年ごとに行われており、03年の13.7%から上昇が続いていた。前回の調査では16.3%であったから、大幅に低下したことになる。
この背景には、自公連立政権が進める経済政策で雇用の増加など経済状況が上向いたことがあるだろう。また、勉強が遅れがちな子どもへの教育支援など総合的な対策を盛り込んだ「子どもの貧困対策推進法」が、公明党の主導で13年に成立したことも大きく影響していると言える。
とはいえ、日本の子どもの貧困率は国際的に見ても依然として高い。
経済協力開発機構(OECD)が14年にまとめた統計によると、OECD加盟36カ国の子どもの貧困率の平均は13.3%で、日本はこれを0.6ポイント上回っている。最も低いデンマークの3.7%や韓国の9.4%に遠く及ばない。
日本は、子どもの貧困対策に一層力を入れていくべきであることは言うまでもない。
今回の調査で見逃せないのは、ひとり親世帯の貧困率が50.8%に上っていることだ。前回より3.8ポイント改善しているものの、いまだに全体の半分を超える。特に、母子世帯の82.7%が「生活が苦しい」と答えている。
こうした経済的に困窮した家庭では子どもが進学を断念するなどして高度な教育を受けられず、大人になってからも貧しい生活を送るケースが少なくない。この「貧困の連鎖」を断ち切る必要がある。
そのためには、保護者の経済的状況にかかわらず、誰もが必要とする教育を受けられるようにしなければならない。公明党が給付型奨学金の創設をはじめ、教育費負担の軽減に取り組んできた理由の一つもここにある。
政府は「高等教育の機会均等」に向け、貧しい家庭に育っても意欲があれば、大学などへの進学を保証する仕組みの創設をめざし、授業料の無償化などを課題に挙げている。検討を急いでほしい。