e最低賃金 経済の好循環にも引上げ必要
- 2017.06.30
- 情勢/解説
公明新聞:2017年6月30日(金)付
「時給1000円」の実現に向けた議論を期待したい。
2017年度の最低賃金の改訂について話し合う厚生労働省の審議会が始まった。7月末にも見直しの目安が決まる予定だ。
最低賃金は、企業が労働者に支払わなければならない最低限の賃金(時給)のことで、毎年、労使の代表が協議して見直しの目安を決めている。この目安を基に都道府県ごとの最低賃金が決まる。
16年度の最低賃金は、時給で示されるようになった14年度以降で最も高い25円(約3%)の引き上げとなり、全国平均で823円に増額された。経営者側が17年度も大幅な引き上げを認めるかが今回の議論の焦点だ。
労働者の所得に直結する最低賃金の見直しは、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費の動向を左右する。経済の好循環をさらに加速させ、景気を本格的な回復軌道に乗せる上で、最低賃金の引き上げは欠かせない。
政府が3月に取りまとめた働き方改革実行計画では、最低賃金が全国平均で1000円に達するよう「年率3%程度の引き上げ」を打ち出している。これは、労使双方の協議を踏まえた目標だ。
仮に毎年3%ずつアップすれば、23年度に「時給1000円」が実現する。引き上げの流れが定着するよう、経営者側の努力を求めたい。
もちろん、大企業に比べて経営基盤の弱い中小・小規模企業への目配りを忘れてはならない。
この点で注目したいのは、親会社が下請け事業者に対し、優越的な地位を乱用することを規制する「下請代金支払遅延等防止法」(下請代金法)の運用基準が昨年12月、50年ぶりに見直されたことだ。
具体的には、下請け企業への支払いを後日に繰り延べる「手形払い」を避け、できる限り現金払いとするよう親会社に要請した。また「自社製品の強制購入」など"下請けいじめ"となる違反行為の事例を66から141に拡大した。公明党が強く訴えてきたものである。
こうした、中小・小規模企業が賃上げしやすい環境づくりが今後も必要であろう。労使の取り組みを政治が力強く応援したい。