e都議選結果 識者に聞く
- 2017.07.05
- 情勢/解説
公明新聞:2017年7月5日(水)付
公明が都政のチェック役に
強い発言力、政策実現に生かせ
国際医療福祉大学 川上 和久教授
―都民ファーストの会が議席を大幅に伸ばした。
川上 小池百合子都知事への高い支持を背景に、自民党への批判票が一気に都民ファーストの会に流れたのだろう。ただ、多くの議席を持っているにもかかわらず、小池知事の意向を忖度し、追認するだけの勢力になってしまっては意味がない。都政へのチェック機能がきちんと働くかが課題だ。
―今回の都議選に関する報道をどう見るか。
川上 小池知事が就任して以来、メディアは都政について東京五輪・パラリンピックの競技会場や築地市場移転に関する問題ばかりをクローズアップして報道してきた印象が強い。選挙報道を見ても、メディアに"ウケ"が良いことばかりで、都民にとって重要な政策本位の選挙が浸透したとは言いがたい。
―公明党は23候補全員が当選を果たした。
川上 公明党は私立高校授業料の実質無償化などの実績を訴え、各地で激戦を制した。全員当選と、少しでも取りこぼしたのとでは、その後の発言力が全く違う。公明党は、その大きな発言力を発揮して、都民ファーストの会と合意した政策を実現してほしい。
―今後、都議会で公明党が果たすべき役割は。
川上 公明党に期待したいのは、都政へのチェック機能としての役割だ。これまでの公明党の経験などを生かし、小池知事に協力しながらも、是々非々の姿勢で対応してもらいたい。都民ファーストの会が賛成する政策でも、それを軌道修正したり、場合によっては、自民党と協力して「こうした方がいい」と声を上げることもあってよい。
―民進、共産両党は自民批判の受け皿になったか。
川上 全くなっていない。両党とも都議選で国政の話題を訴えたが、民進党は、旧民主党政権時代の失政の印象が拭い切れず、共産党は自民党票があまりにも減ったため、結果的に議席を獲得したのではないか。
―都議選の結果は国政に影響するか。
川上 国政では自公連立の枠組みを崩さず、東京五輪・パラリンピックの成功などに向けた責任を果たしてもらいたい。自公連立のほころびから、基本政策などの考え方が全く違う民進党や共産党が連携し、倒閣への動きを本格化させたら、日本は大混乱に陥る。自公がしっかりと協力関係を築き、混乱を招かない政治を進めてほしい。