eヒアリの侵入 定着阻止へ水際対策を万全に

  • 2017.07.07
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年7月7日(金)付



日常生活を脅かす外来種の定着を、あらゆる手段で食い止めなければならない。

強い毒を持つ南米原産のアリの一種「ヒアリ」の侵入が、神戸港などで確認された。

赤茶色で体長2.5~6ミリのヒアリは攻撃性が強く、尻にある毒針で刺されると、やけどのような激痛が走るため「火蟻」と表される。アレルギー性のショック症状を起こすこともあり、定着を許した北米では年間100人以上が死亡しているという。

ヒアリにかかわらず外来種の侵入については、輸入貨物などを取り扱う空港や港で、どう防ぐかが重要だ。いわゆる水際対策である。ニュージーランドではヒアリの侵入直後、発見箇所を中心に集中的に駆除を進めて生息数を抑え込んだ例もある。

神戸港や名古屋港では中国の南沙港を出港したコンテナから発見されたため、環境省は同港からの定期輸送がある22港で緊急調査を進めている。国土交通省も中国からの定期コンテナ航路がある63港湾を管理する自治体に、殺虫剤入りの餌を置くなどの対策を要請し警戒を強めている。

大阪港などでは駆除した個体から女王アリの死骸が見つかった。1日2000個以上の卵を産む能力を持つだけに、繁殖している可能性も指摘される。早期の駆除で定着を阻止したい。発見場所だけでなく、周辺地域を長期的に監視する必要もあろう。

国民への情報提供にも一層力を入れるべきだ。

「怪しいアリや巣を見つけた際は絶対に刺激せず、地方環境事務所などに連絡する」「万一、刺された場合は安静にし、急激に容体が変化する場合は速やかに病院へ行く」―といった注意点を分かりやすく伝えてほしい。

グローバル化の進展で、外来種が侵入するリスクは飛躍的に高まっている。

いったん外来種の定着を許すと、根絶することは困難だ。極めて攻撃的なアルゼンチンアリや毒を持つセアカゴケグモは、国内で初めて見つかってから10年余りで全国的に広がった。

国は、ヒアリの侵入経路が他に考えられないか調査を続けると同時に、輸入業者とも連携を取り注意喚起や情報共有に努めてほしい。

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