e全ての区役所・支所にテレビ電話通訳を導入
- 2017.07.11
- 情勢/テクノロジー
公明新聞:2017年7月11日(火)付
外国人市民に6カ国語で
利用者「相談しやすく助かる」
名古屋市
名古屋市は現在、全ての区役所と支所の計22カ所で、外国人市民が行政窓口で言語サポートが必要になった時、通訳スタッフがいる名古屋国際センターとテレビ電話でつなぐサービスを実施している。テレビ電話通訳を全区役所・支所で行うのは政令市初の取り組みで、実現を後押しした公明党の木下優、田辺雄一の両市議はこのほど、同市中川区の富田支所で利用状況などを聞いた。
テレビ電話通訳は、タブレット端末を使って外国人と通訳スタッフ、市職員の3者が互いの顔を見ながら会話できるようにするもの。
対応する言語は英語、ポルトガル語、スペイン語、中国語、韓国語、フィリピノ語の6カ国語で、日頃から電話や窓口で外国人の通訳を実施している名古屋国際センターのスタッフが担当する。
火曜~金曜は、英語(午前9時~午後5時15分)、ポルトガル語とスペイン語(午前10時~正午、午後1時~5時)、中国語(午後1時~5時)の通訳が行われ、韓国語とフィリピノ語は木曜の午後1時~5時のみ。日曜も英語(午前9時~正午)、ポルトガル語とスペイン語と中国語(午前10時~正午)については対応している。
同市の外国人住民数は年々増加傾向にあり、現在、約140カ国7万人以上に上る。このうち、長期滞在が見込まれる在留資格者が63%を占めており、行政においてもきめ細かくサポートする必要性が高まっていた。
しかし、これまで各区の行政窓口で独自の通訳を配置していたのは中区と港区のみ。他の区では市職員が外国人に応対していたため、複雑な問題になると意思疎通がうまくいかないケースが少なくなかった。こうした場合、国際センターの通訳に電話するか、外国人に対して、通訳ができる人を連れてきてもらうようお願いせざるを得ない状況だった。
2004年に中国から中川区に移住し、日本語を片言でしか話せない李純書さんは、子どもの奨学金の手続きなどを行うために同区の富田支所を訪れた際に、やり取りがうまくいかなかった辛い経験があり、改善を強く望んでいた。
公明 切実な声受け実現を後押し
李さんからの切実な声を聞いた木下市議は、昨年10月の市議会経済水道委員会で李さんの事例を通し、通訳サービスの充実に取り組むよう主張。その後、市がテレビ電話通訳を外国人居住者の多い6区の区役所と1支所で試行的に始めたことを受け、同年12月の同委員会では木下、田辺の両市議が全区役所・支所でも利用できるよう要請。市は今年5月9日から、全市的にサービスを導入した。
富田支所を訪問した木下、田辺の両市議は、李さんがテレビ電話通訳を利用する様子を見学。李さんは「顔を見ながら会話できるので相談しやすい。すごく助かります」と喜んでいた。市の担当者は「テレビ電話通訳で、外国人市民の7~8割をカバーできる。多くの人に利用してもらえるよう周知を進めたい」と話している。