eコラム「北斗七星」
- 2017.07.12
- 情勢/社会
公明新聞:2017年7月12日(水)付
「なぜ戦車をつくることは簡単なのに、学校を建てることは難しいのでしょうか」。2014年に史上最年少でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん(当時17歳)。同賞の授賞式でのスピーチで世界に向けて投げ掛けられたこの問いは、人々の胸に突き刺さる力が込められていた◆母国パキスタンで女性の教育を受ける権利を訴え、15歳のときにイスラム武装勢力に銃撃された。頭と首に2発の銃弾を受け瀕死の重傷を負ったが、奇跡的に回復。ニュースは世界を駆け巡った◆治療や安全確保のために移った英国でも、女性や子どもが教育を受ける権利を呼び掛け続けた。今年4月には、女子教育の普及に取り組む国連平和大使に任命されている◆世界の子どもたち(12歳~15歳)のうち、約6300万人が教育を受ける権利を奪われているとの推計もある。貧困や児童労働、武力紛争によって「学校を知らない子どもたち」が存在する。これが、彼女が訴える世界の現実だ◆国連は4年前、マララさんの勇気ある行動を称えて、彼女の誕生日である7月12日を「マララ・デー」と決めた。彼女はきょう20歳を迎える。「テロリストが恐れているのは、鉛筆と本が私達にもたらす力なのです」。教育の力を信じてやまない彼女の言葉を改めてかみしめたい。(辰)