e現場発の政策実現へ論戦
- 2017.07.19
- 情勢/解説
公明新聞:2017年7月19日(水)付
各地の地方議会定例会から、現場発の政策実現へ論戦を展開する公明党議員の質疑を紹介する。
県施設の総点検、子ども食堂の運営面で要望
埼玉県議会で蒲生、萩原議員
蒲生徳明議員は、障がい者や高齢者など、誰もが使いやすいように配慮されたユニバーサルデザインを踏まえた県有施設の総点検を訴えた。
県内のNPO法人が行った調査では、公共施設にある多目的トイレの中に、車いすの導線が確保できなかったり、オストメイト(人工肛門などの装着者)に対応していない不備などが報告されていると強調。総点検の実施により「不具合がある場合は設置基準のあり方も含め、原因を調査する必要がある」と訴えた。
県側は実態調査を行い、使いづらい施設について「対応策を検討する」と述べた。
萩原一寿議員は、地域の子どもたちに無料や低額で食事を提供し、居場所にもなっている「子ども食堂」を取り上げ、主催するNPO法人などの団体、個人が運営上さまざまな困難を抱えながら活動している現状を指摘。解決に向けて、子ども食堂の関係者を対象にした「県主催のセミナーを行うべきだ」と提唱した。
県側はセミナーを今年度中に開催する考えを明らかにした。
熊本地震 危険箇所の対策急げ
大分県議会で河野議員
河野成司議員は、災害対策について質問した。
地滑りの影響により住民の避難生活が続いている豊後大野市朝地町綿田地区の現地調査を行ったことを報告。より一層の支援を求めるとともに、熊本地震などの影響で斜面の崩壊や亀裂が確認されている他の危険箇所についても、早急な対策が必要であると訴えた。
阿部洋祐土木建築部長は危険箇所への対応について、砂防ダムの整備など対策を進めていることを述べ、「定期点検や緊急点検を着実に実施し、万全を期していく」と答えた。
また、河野議員は自殺対策について質問。自殺者の多くが抱える「うつ病」について、悲観的な考え方を転換する「認知行動療法」の実践で約7割の患者の症状がなくなったという研究成果を示し、うつ病に対する県の取り組みをただした。
長谷尾雅通福祉保健部長は、県内の自殺者が年間190人を超える現状を踏まえ、認知行動療法の普及など、さらなる自殺対策を進めたいと述べた。
教員の働き方改革や食品ロス削減で提案
滋賀県議会で中村、粉川議員
中村才次郎議員は、教職員の働き方改革について質問した。
この中で中村議員は、今年4月に文部科学省が公表した2016年度の公立小・中学校教員の勤務実態調査に言及。中学校教諭の約6割が過労死の目安とされる週60時間以上の勤務をしているとの結果に触れ、「教師は子どものためだと思うと、さらに仕事が増えても抱えてしまう」と力説。
その上で勤務時間の短縮に向けた取り組みとして、学校外部の人材が部活動の指導や引率ができる「部活動指導員」の導入とともに、部活動指導員専門の人材バンクを設立するよう求めた。
県教育長は、部活動指導員の導入と併せて、人材確保策についても検討していく考えを示した。
粉川清美議員は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の中で掲げられている食品ロスの削減について、「経済、環境、社会において喫緊の課題」と強調。具体的な対策の推進に向け、全県的な食品ロス削減運動を展開するための体制構築や、食品ロス削減に協力する飲食店や事業者を支援する「認定事業」の実施などを提案した。
県側は、今年度中に県内各市町や事業者、消費者団体などと連携して「県買い物ごみ・食品ロス削減推進協議会(仮称)」を設置し、同協議会の中で「認定事業」についても前向きに検討すると答弁した。
米軍基地負担の軽減を
沖縄県議会で上原議員
上原章議員は、今年5月に公明党として、米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止など在沖米軍基地の負担軽減に関する政府要請を行ったことに触れ、「党として、その実現に向け全力で取り組む決意だ」と訴え、県の見解をただした。
謝花喜一郎・知事公室長は、県としても要請内容を重要だと捉えるとの認識を示し、「公明党とも連携し、米軍基地の負担軽減に取り組んでいきたい」と答えた。
また、上原議員は県の自立型経済の構築に向けて、「労働生産性の高い製造業の成長が不可欠だ」と指摘し、県の取り組みを聞いた。
翁長雄志知事は、沖縄の地理的特性や地域資源を活用した付加価値の高い製品開発や、国際物流ハブ機能を活用した販路拡大、バイオ産業などに力を入れて取り組んでいることを報告。「これらの取り組みにより、県民所得の向上を図っていく」と答えた。
発達障がい 早期発見へ対応促す
さいたま市議会で齊藤議員
齊藤健一議員は、発達障がい者支援について質問した。
総務省の発達障がい者支援の実態調査をもとに、乳幼児健診時での発見の見逃しや、健診結果が自治体から保育所や幼稚園に十分に伝わっていない事例があることに言及。その上で、適切な支援を行うため、乳幼児健診と就学時健診における早期発見、早期療育の重要性を強調し、市の取り組みをただした。
市側は、乳幼児期からの早期発見と適切な支援に努める意向を示した。
また、同議員は1歳6カ月時健診の際に、発達障がいの早期発見に役立つ乳幼児発達度チェック「M―CHAT」の導入を提案。保護者への支援や理解を深めることにもつながり、発達障がいに起因して発症する、うつなどの二次障がい、保護者による虐待行為などの予防につながる有効性も踏まえ、早期発見・療育を進める施策として導入を訴えた。
市側は、導入について「意義あること」と理解を示し、検討すると答弁した。