eギャンブル等依存症対策法案
- 2017.07.24
- 情勢/解説
公明新聞:2017年7月24日(月)付
本人・家族の苦悩を直視
関係者の責務明記 予防、医療、相談など推進
党プロジェクトチーム事務局長 熊野 正士参院議員に聞く
競馬やパチンコなどにのめり込み、多額の借金や家庭崩壊など生活に支障を来すギャンブルなどの依存症への対策を進めるため、自民、公明の与党両党は6月13日、ギャンブル等依存症対策基本法案を衆院に提出した。先の通常国会では継続審議となったが、公明党は早期成立をめざす。党ギャンブル等依存症対策検討プロジェクトチーム(PT)の熊野正士事務局長(参院議員)に法案のポイントを聞いた。
アルコール・薬物の施策と連携
―法案提出の理由は。
熊野 昨年12月、カジノを含む統合型リゾート(IR)整備推進法(自民、旧維新の党などによる議員立法)が成立したことを一つの契機として、かねてから深刻な問題となっていたギャンブル依存症が改めて注目されるようになりました。
そこで、これまでアルコール・薬物などの依存症対策の充実に取り組んできた公明党は同月、ギャンブル依存症対策の拡充を検討するためのPTを立ち上げ、当事者団体や専門医などへのヒアリングを重ねました。その結果、日本では相談や医療などの体制がまだ不十分であることが明らかになりました。
本人はギャンブルをやめたくてもやめられず苦しんでおり、家族の苦悩も計り知れないことから、適切な介入と支援が必要です。決して、個人の責任だけで済む問題ではありません。この状況を直視し、改善していくには法律の下で強力に対策を進めるべきだと考え、自民党と共に法案を作成しました。
―法案のポイントは。
熊野 国、地方自治体、関係事業者らの責務を明記し、啓発や予防、医療提供体制の整備、相談支援、社会復帰支援、自助グループなど民間団体の活動に対する支援、3年ごとの実態調査などの施策を講じることを定めました。また、政府には対策推進基本計画の策定を義務付け、少なくとも3年ごとに見直しを検討するよう求めています。
―公明党が特に主張した点は。
熊野 アルコール・薬物などへの依存に関する施策との「有機的な連携」です。例えばアルコール、ギャンブルの両依存症は、話し合いを通じて考え方を変えていく認知行動療法を用いるなど似ている部分があります。ギャンブルのみに特化するのではなく、それぞれの施策が連携し、ノウハウを他の依存症に生かすなどすれば、依存症対策全般をより前に進められます。
既存の課題に対処IRとは別の議論
―法整備は、IRを実施するためか。
熊野 今回の法整備とIRとは別の議論であろうと考えています。IRの議論が契機になったのは確かですが、現在、既にギャンブルなどによる依存症で苦しむ本人と家族が相当数存在するのは事実であり、法整備による対策強化が必要です。野党の理解も得て、法案の早期成立をめざします。