e犯罪被害者支援 加害者が親族でも給付金支給を
- 2017.07.24
- 情勢/解説
公明新聞:2017年7月24日(月)付
夫婦や親子など親族間で起こる殺人や傷害事件の悲劇は後を絶たない。昨年起きた殺人事件のうち、親族間の割合は55%に上った。
殺人や傷害事件で受けた精神的・経済的打撃を緩和し、犯罪被害者や遺族が少しでも早く平穏な生活に戻れるようにするため、一時金として最大約4000万円の給付金を国が支給する犯罪被害給付制度が用意されている。
しかし、親族間の犯罪では原則的に支給されない。例えば、夫が妻を殺害して子どもに給付金が支給されると、結果として夫を利する可能性もあるからだ。例外的に支給される場合も親族関係の遠近に応じて減額される。
これに対し、配偶者からの暴力(DV)が原因の犯罪など同情すべきケースへの対応が課題となっていた。
政府は今回、親族関係が事実上破綻している場合には給付金を全額支給し、減額もより実態に応じた制度にするための改革をめざすことになった。犯罪被害者支援をリードしてきた公明党もこの改革実現に努力する決意だ。
現行制度では、被害者と加害者の関係が、夫婦や直系血族(親や子)、同居の兄弟姉妹の場合は原則として支給されない。その例外として「特段の事情」があれば3分の1まで、さらに、DVや児童虐待などであれば3分の2まで支給され、「特に必要と認められる」場合でないと全額支給はされない。
これについて「制度が複雑すぎる」「親族関係が事実上破綻している場合、例えば夫婦関係なら婚姻関係が事実上解消されていたり、夫の暴力から逃れるために別居していたり、また離婚調停中であれば、それだけで全額支給すべき」との意見が犯罪被害者団体から出されていた。
この見直しは、警察庁が昨年4月から給付金制度の実態調査をした上で有識者検討会に諮り、今月、「提言」を受け取った。親族間の犯罪のほか、犯罪被害者に医療費を支給する制度に関しても、支給の対象期間を現行の1年から3年に延長すべきとの提言なども含まれている。
政府は予算を確保した上で政令改正により来年度からの実施を予定している。改革実現へ準備を進めてほしい。