e新自殺対策大綱 深刻な若年層。具体策強化急げ

  • 2017.07.27
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年7月27日(木)付



かけがえのない多くの命が日々、自殺に追い込まれている状況を何としても変えなければならない。

政府は25日、新たな「自殺総合対策大綱」を決定した。公明党の推進で2006年に成立した自殺対策基本法に基づき、07年に策定された国の自殺対策の指針である大綱。5年ごとに見直しが行われ、今回で2回目となる。

新大綱では、人口10万人当たりの自殺者数である「自殺死亡率」を、今後10年間で30%以上減らすという数値目標を掲げた。

年間自殺者数は09年から7年連続で減少し、16年には2万1897人と22年ぶりに2万2千人を下回った。

しかし、残念ながら日本の自殺死亡率は18.5人(15年)と、主要先進7カ国(G7)の中で最も高い。

新大綱の数値目標を達成すると、日本の自殺死亡率は他の先進国の平均である13.0人に下がるが、そのためには年間自殺者数を1万6千人以下にする必要がある。高く見える数値目標自体、政府の危機感の表れではあるが、現状を考えると達成は容易ではない。

特に深刻なのは、若い世代である。

17年版の自殺対策白書によると、15歳から39歳までの死因の第1位を「自殺」が占める。そこで、新大綱では若者に焦点を当てた対策を新たに打ち出した。

10代に多い、いじめを原因とする自殺を防止するため、学校での「SOSの出し方教育」を行い、相談しやすい環境をつくる。女性については、産後うつによる自殺が多いことから、育児の悩みを抱える母親への相談、支援態勢の強化を盛り込んだ。同時に、電通の新入社員による過労自殺を受け、長時間労働の是正などの対策を促進する。

新大綱では、自殺に至らないための「介入」の必要性も指摘している。例えばカナダでは、自殺を考えるほど思い詰める人の相談を受け付ける「いのちの電話」は逆探知も可能で、「死にたい」と電話を切った人の居場所を突き止め、警察と看護師が自殺を防ぐ緊急介入を行うこともある。

相談窓口の充実に加え、自殺の危険が高い人を救うための態勢整備も急いでほしい。

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