e政治分野の男女共同参画
- 2017.08.03
- 情勢/解説
公明新聞:2017年8月3日(木)付
女性の視点 広く政策に
議員比率、法整備進め向上を
上智大学 三浦まり教授に聞く
国内の多くの分野で女性の社会進出が進む中、政治分野では女性議員の占める割合は極めて低い。日本で女性議員が増え、活躍できるようになるには何が必要か。上智大学の三浦まり教授に聞いた。
―女性議員を増やす意義は。
三浦まり教授 社会が抱える問題に対して、女性と男性で全く違う認識を持っているわけではないが、政策志向は男女で大きく異なる。例えば、平和への探求や性暴力などは、女性の関心が高い。
意思決定の場である国会に女性議員が少ないと、女性の関心が高い政策にスピード感が出なかったり、内容が薄いなどの問題が生じてくる。少子化対策も1990年代から比べれば大きく前進しているが、女性議員が多ければ問題解決の速度が違ったかもしれない。男女の政策志向のバランスが大事であり、どちらかに傾けば政策に歪みをもたらす。
―日本の政治分野における女性の進出をどうみるか。
三浦 進んでいるが、十分とは言えない。現在、世界各国の下院(日本では衆院)で女性議員比率の平均が23.6%と20年前より倍増している中、日本は9.3%で193カ国中164位(2017年7月現在)。主要7カ国(G7)の中でも最低で、世界的に見ても低い。国際的な潮流から完全に取り残されているのが実情だ。女性議員比率が高い国の多くは、選挙制度に着目し、クオータ制(候補者や議席の一定比率を男女に割り当てる制度)を導入している。
―日本で求められる取り組みは。
三浦 国会で継続審議となっている「男女共同参画推進法案」(議員立法)は極めて画期的な法案だ。努力義務ではあるが、男女の候補者数を「均等」と明記したのは大きな一歩と言える。
また、国や地方自治体に対して、政治分野で男女共同参画が推進されるよう、人材育成を進める意義も大きい。各自治体が女性の政治参画を促す取り組みを広げる大きな後押しになる。一日も早い法案の成立を期待したい。
―政党は何をすべきか。
三浦 日本では現職議員の大半が男性だ。当選した女性議員が孤立しないよう、政党の中に女性議員で構成される「女性局」を設けることが大事だ。また、女性議員が女性の市民団体と交流し、意見交換を重ねる中で社会問題に取り組む流れができれば良い。
公明のリードに期待
公明党は地方議員を合わせると、女性議員が約3割を占めている。ぜひとも今後は、女性議員比率4割をめざし、各党での女性参画をリードしてもらいたい。