eナガサキを"最後の被爆地"に
- 2017.08.09
- 情勢/社会
公明新聞:2017年8月9日(水)付
72回目の「原爆の日」
核兵器の恐怖 伝え残す
貴重な資料の保存を後押し
各地の公明議員に関連施設への訪問呼び掛け
党長崎県本部
A長崎市はきょう、72回目の「原爆の日」を迎えた。原爆の悲惨さの継承に取り組んでいる公明党長崎県本部(麻生隆代表=県議)の「核兵器廃絶長崎アプローチ構想推進委員会」(久八寸志委員長=市議)は7月27日、原爆の日を迎えるに当たり、長崎原爆資料館の地下にある収蔵庫を視察し、所蔵物の保存に向けた課題などを調査した。
原爆資料館の地下にある収蔵庫には、被爆当時の様相を伝承する絵画や遺品が数多く所蔵され、一部は、県外原爆展の開催時に貸し出している。
所蔵物は劣化が進んでいる上、カビやさびを防ぐために温度や湿度の管理が必要な状況に。中村明俊館長は「これらの所蔵物は、未来に核兵器の恐怖を伝え残していく貴重なもの」と話し、唯一の被爆国として、適切な管理・保存ができるよう国の支援を求めていく考えを示した。
これに対し、同委員会としても党のネットワークを生かし、しっかりと後押ししていく意向を伝えた。
党県本部は2015年、党市議団(向山宗子団長)を中心に同委員会を設置。「長崎を"最後の被爆地"に」との思いで、被爆体験の継承など市民を主体として、核兵器廃絶に向けた平和運動の拡大をめざし取り組んでいる。
同委員会はこれまで、被爆者が自らの体験を語り、映像として保存する被爆証言の映像収集などに取り組んできた。映像収集は、15年の被爆70年に際し、党県本部に設置された「被爆70年長崎平和事業推進委員会」が開始した取り組みで、核兵器廃絶長崎アプローチ構想推進委員会に発展した今も継続している。これまでに10人の証言を収集。中には、これまで語ってこなかった被爆者が初めて証言したケースもある。
久委員長は「貴重な証言を後世に継承し、二度と原爆を使用させてはいけないと世界に発信していくために、映像収集を続けていく」と語る。
同委員会は現在、市が他県の都市と共催する原爆展の未開催県ゼロをめざして公明党の各県本部と連携し、開催を働き掛けている。未開催11県のうち、今年は3県で開催される予定だ。
このほか、県内各市町の平和事業を拡充するため、各地の公明党議員に、市内の原爆関連施設を訪れるよう呼び掛けている。今年6月には、諫早市議会公明党の山口喜久雄、津田清、湯田清美の各議員と、南島原市の中村久幸議員が、「長崎原爆遺跡」として公明党の後押しで国の指定文化財に昨年登録された長崎市立城山小学校(旧城山国民学校)の被爆校舎を視察した。
諫早市議会公明党は今後、小学校の課外学習で同小学校を見学することを議会に提案していくほか、南島原市で中村議員が原爆展の開催を推進する方針だ。
厚生労働省によると、被爆者(被爆者健康手帳所有者)の平均年齢は約81歳(今年3月末現在)と高齢化が進み、被爆体験の継承が大きな課題となっている。田上富久・長崎市長は、これまでの被爆証言を聞くことを主としてきた平和教育から、将来、被爆者がいなくなる時代に備えた教育の充実を図る考え。田上市長は「核兵器のない世界の実現には、核兵器の廃絶を求める声を発信し続けていく必要がある。今後も、公明党と共に声を上げ続けていきたい」と期待している。