e国交正常化45周年 日中友好の絆を未来へ

  • 2017.08.28
  • 情勢/国際

公明新聞:2017年8月27日(日)付



京劇、日舞、和太鼓など伝統芸能
子どもたちが交流公演



来月29日で、日中国交正常化から45周年の節目を迎えます。全国各地ではこの夏、日中友好の絆を未来に引き継ごうと、文化団体や大学生などが多様な交流を通し、相互理解を深めました。ここでは、各地で行われたイベントの模様とともに、日中両国の青少年の交流に期待を寄せる識者からのコメントを紹介します。

子どもたちが日中文化交流の懸け橋に―。今月22、24、26日の3日間、日本京劇振興協会が主催する初めての「こども伝統芸フェス2017~こどもによる日中伝統芸能交流公演~」が、福岡、大阪、東京の各都市で行われました。今回のイベントには、中国最高峰の伝統芸能コンクールで多数の金賞を受賞している児童京劇団「金帆京劇団」が来日。各都市で、日本舞踊や歌舞伎、能楽など日本の伝統芸能の修練に励む子どもたちと共演しました。

22日に福岡県久留米市で行われた公演では、中国楽器の音色とともに同劇団の代表が、孫悟空や天女、「三国志」の将軍・張飛などに扮して登場。また、東京都で京劇の普及に取り組む「新潮劇院」からは、中国の数々のコンクールで入賞経験を持つ大島陸さん(中学1年)が出演し、スピード感ある舞を披露。日中両国の少年少女たちによる圧巻の演技に、場内は大きな拍手と歓声に包まれました。幼稚園から京劇を続けているという大島さんは、「中国の子どもたちと、練習の合間に日本の遊びを通して交流するのが楽しい」と声を弾ませていました。

この日の公演では、北九州市で活動する和太鼓教室「神洲太鼓」のメンバーが、気迫のこもった掛け声とともに力強いリズムを刻み、会場の盛り上がりは最高潮に。沖縄県八重瀬町から参加した「八重瀬歌舞団」が、約300年続く沖縄の古典芸能「組踊」を披露したほか、北九州市の日本舞踊教室「裕志朗の会」は、凜とした、しなやかな演舞で舞台に花を添えました。

今回の公演を企画した日本京劇振興協会の梅木俊治常任理事は、「私たちは日本で京劇を行う団体として、常に日中友好の橋渡し役でありたいと思っています。今後も草の根レベルで両国の友好を広げていければ」と話しています。


相互理解へ学生会議
「経済」「歴史」などテーマに

日本と中国の大学生らが2週間以上にわたり両国間の諸問題について議論する「日中学生会議」(同実行委員会主催)が6日から24日まで、長崎、大阪、東京の3都市を巡り開催されました。

両国の相互理解を深めることを目的とした同会議は、今年で36回目。日中から約60人の学生が参加し、「経済」「歴史」「メディア」など六つのテーマごとにグループで議論を重ね、その結果を発表し合いました。

19日に大阪市内で行われた会議では、それぞれのグループで「教育格差」や「メディアの果たすべき役割」など、白熱した議論を展開。学生がホワイトボードの前で総立ちになって、真剣に話し込むグループもありました。

参加した中国・中山大学3年の呂梅特さんは「一つの問題でも、日本と中国の受け止め方が違うので、勉強になります。お互いの理解が進みます」と、広い視野が培われる大切さを強調。日本側実行委員長の王航洋さん(東京大学2年)は「会議に参加したメンバーは、卒業後、貿易商社に就職したり、外交に携わる仕事で活躍する人も多くいます。日中友好の人材の懸け橋となる契機にしていきたい」と語っていました。


「等身大」の触れ合いを
公益財団法人 日中友好会館副会長 宮本雄二氏(元駐中国大使)

これからの日本と中国の関係を考える上で、若い世代による交流、とりわけ文化交流は非常に大切です。両国の伝統文化には、互いに刺激を与え、それぞれ発展してきた歴史があります。例えば歌舞伎の「見得を切る」と同じポーズや、「隈取り」などの化粧は京劇にも共通しています。文化を知ることで、根っこでつながる両国の絆が感じられます。

一衣帯水の隣国に対し、誤解を招く一部の情報だけで、相手国を見ていては信頼関係は築けません。若い皆さんが歴史や文化を深く学び、直に触れ合う「等身大」の交流を持続することが、重要だと確信しています。私も日中友好の輪を広げられる交流を、後押ししていきます。

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