eコラム「北斗七星」
- 2017.08.29
- 情勢/社会
公明新聞:2017年8月29日(火)付
相次ぐ大雨による災害。ニュースのたびに、小さいころの体験を思い出す。洪水の際に、家の前の用水路に巻き込まれ、危うく近所の人に助けられたことがある◆ゲリラ豪雨、線状降水帯と近年、台風以外の集中的な大雨を表す言葉が生まれた。深刻な被害が生じているからだが、「想定外の被害ではない」(中央大学の山田正教授=公明グラフ秋季号に掲載予定)。設計上の限界を超える雨が降れば、水があふれるのは「自明」だという◆ただし、被害は減らすことができる。情報の迅速な伝達による避難、そして河川とその周辺の改修というソフト・ハード両面に人間の英知を注ぎ込むことによって◆「記録的な豪雨」というが、詳細な記録は戦後50~60年間のものに過ぎない。たまたま1960年代以降、「そうした雨が降っていなかっただけ」。戦後の河川改修などによって「対策は終わったと思って」はならない。歴史的には、火山の爆発と大雨が複合して利根川全流域に悲惨な被害を生んだ、浅間山の天明噴火(1783年)による大洪水の例もある◆毎年のように起きた故郷の洪水は、改修によって今はおさまっている。しかし「発生確率が低くても、自然災害はあした起きてもおかしくない」。だから、100年計画で防災力を高める努力が求められている。(繁)